民主党の鳩山政権が9月16日発足し、農相には選対委員長の赤松広隆氏が就任した。赤松氏は、旧社会党グループのリーダー格で、ウルグアイラウンド交渉の最中の1993年には、党の方針に反して「コメ関税化」を肯定する発言をした人物である。果たして今回、農相として民主党がマニフェストで示した当初の方針のまま動くのか、それとも軌道修正を図っていくのか、興味をそそられる人事である。 そもそも、筆者は、民主党がマニフェストに盛り込んだ農業に関する公約は、すべては実現できないと考えている。端的に言えば、農家にも消費者にも好い顔をしてしまった結果、整合性を失い、目標のどちらかを立たせると、どちらかが立たないという隘路にはまり込んでいる。よく言われているとおり、民主党の中に、行政経験の豊富な人たちが少ないということの証左であろう。 では、抽象論はさておき、マニフェストをベースに、具体論で問題点を検証したい。 周知