名古屋大学の荻朋男教授らは、二日酔いに関わる遺伝子が老化にも関与することを見つけた。アルコールを代謝する過程でできる有害物質「アルデヒド」の分解に関わる遺伝子で、働きが弱まるとDNAに傷が入りやすくなっていた。早期の老化を引き起こす早老症の治療法開発に役立つ可能性がある。アルコールに対する強さは複数の遺伝子の働きが左右する。なかでもアルコールが体の中で分解される過程で生じるアルデヒドは毒性があ
値段の「¥マーク」を小さくしたら購入率が大きく改善された。機能は「体験」で成果が激変する。10周年の「メルカリ」に聞く新機能の開発の裏側。3つの成功施策。 10周年を迎えた「メルカリ」さんを取材しました。 株式会社メルカリ Product Manager 塚本 佳実さん、UX Design Manager 宮本 麻子さん「メルカリ」について教えてください。塚本: 「メルカリ」は、国内最大手のフリマアプリです。2023年の7月にサービス開始からちょうど10周年を迎えました。 直近のアクティブユーザー(MAU)は2,200万人以上に、四半期のGMV(流通金額)は2,500億円以上に到達しています。 累計だと30億品以上が出品されていて、販売の速度でいうと「1秒間に7.9個の商品が売れている」というデータもあります。 この10年間でのトレンドの変化としては、取引されている「ブランド」にも変化が出
終末期医療における生命維持装置を外すことを選択した患者を対象とした研究において、一部の患者の脳で、機能停止直前に脳波が急増することがミシガン大学の研究チームによって確認されました。この発見は、心停止から回復した多くの患者が報告する「臨死体験」を示した可能性があると推測されています。 Surge of neurophysiological coupling and connectivity of gamma oscillations in the dying human brain | PNAS https://doi.org/10.1073/pnas.2216268120 Surges of activity in the dying human brain could hint at fleeting conscious experiences | Live Science https:
by Philippe Garcelon 極度の高温や低温にも耐え、秒速825メートルで射出されても生き残ることが報告されているクマムシは、高線量の放射線にさらされても生き延びることができるとされています。中国の軍事医学研究者チームが、クマムシの遺伝子を人間の幹細胞に挿入し、放射線に対する耐性を大幅に増加させたことが報告されています。研究チームはこの実験の成功によって、核兵器による放射線に耐えることができる「スーパーソルジャー」の開発につながる可能性を提示しています。 Chinese team behind extreme animal gene experiment says it may lead to super soldiers who survive nuclear fallout | South China Morning Post https://www.scmp.com/n
一寸の虫にもこんなに複雑な脳がありました 英国のケンブリッジ大学で行われた研究によって、世界で初めて昆虫の完璧な「全脳マッピング」が行われました。 この研究はより高度な動物の全脳マッピングを行うための足がかり的なものですが、小さな昆虫の脳でも、全てのニューロンとシナプスを特定するのは極めて困難な作業です。 研究者たちはこの研究に、実に12年の歳月をかけたといいます。 一体、全脳マッピングという研究はどのようにして行われ、この成果はどのように今後の世界を変えていくのでしょうか? 研究内容の詳細は研究内容の詳細は2023年3月10日に『Science』に掲載されました。
指紋がどのように形成されるかをついに解明!指紋は3つの化合物の配合によって決まる指紋は3つの化合物の配合によって決まる / Credit:James D. Glover et al . The developmental basis of fingerprint pattern formation and variation . Cell (2023)公的な指紋採取がはじまったのは、1897年のインドだったとされています。 その頃には既に指紋が個人識別の有用な手段であることが判明しており、インドではじまった指紋採取の目的も、犯罪記録の管理にありました。 その後、遺伝学の進歩によって、指紋の代表的な3種類「渦巻き、ループ、アーチ」のどれになるかが、四肢発生の遺伝子の影響を受けていることがわかってきました。 しかし、指紋の凸凹パターンがいったいどんな化学信号で形成されるかの多くは謎に包まれてい
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に使われている飲み薬「モルヌピラビル」が、新型コロナウイルスの突然変異に拍車をかけている可能性があるという論文が発表されました。この研究によれば、モルヌピラビルの投与によって生まれた派生株の中には他者への感染能力を持つものも確認されているとのことです。 Identification of a molnupiravir-associated mutational signature in SARS-CoV-2 sequencing databases | medRxiv https://doi.org/10.1101/2023.01.26.23284998 COVID drug drives viral mutations — and now some want to halt its use https://doi.org/10.1038/
心臓は左、肝臓は右、私たちの体は外見こそ左右対称ですが、内臓の配置や形状の多くは左右非対称となっています。 しかし、たった1個の受精卵からはじまる私たちの体は、いったいどのようにして左右を区別できるようになれるのでしょうか? 米国のマサチューセッツ州総合病院(MGH)およびハーバード大学(Harvard University)で行われた研究によれば、ゼブラフィッシュ胚の底にある円形の細胞集団中央部の「動かない繊毛」を光ピンセットで引っ張ったところ、体の左側を決定する信号が発せられることが明らかになった、とのこと。 機械的引っ張りが体の左側を決める細胞信号に変換される過程が直接確かめられたのは、今回の研究がはじめてです。 研究内容の詳細は2023年1月5日に『Science』にて掲載されました。 Telling Left From Right: Cilia as Cellular Force
科学的な考え方を身につけるにはどうすればいいか。サイエンスライターの緑慎也さんの著書『13歳からのサイエンス』(ポプラ新書)より、蚊に刺されやすい妹のために蚊に刺されにくい方法を探究した男子高校生のエピソードを紹介する――。 研究対象は「一生に一度しか交尾をしない蚊」 米コロンビア大の学生(当時)の田上大喜さんは、コロナ禍の2020年4月に帰国。京都市の自宅からオンラインで講義を受けはじめた。 「授業は、日本時間の夜11時頃から深夜3時頃まで続きます。その後少し休んで、朝7時から昼頃まであります。午後2時から6時頃まで寝ますが、それだけでは睡眠が足りないので、夜中に仮眠を取っています」 かなりハードな生活に思えるが――。 「でも、アメリカでは自分で料理を作ったり洗濯をしたりしないといけませんが、今は親がやってくれるので、その分、楽です」 私が田上さんを取材するのは5年ぶり2回目だった。最初
石灰の塊が「自己修復機能」を生み出していた!ローマン・コンクリートを顕微鏡下で見ると、ミリメートル単位の白い石灰の塊がいたるところに散見されます。 これは「ライムクラスト(lime clast、石灰の塊)」と呼ばれ、現代のコンクリートにはなく、ローマン・コンクリートにのみ見られる特徴として知られていました。 しかし、その生成原因は詳しく調べられておらず、専門家らは「材料の質が悪いか、混合方法がずさんなためにできる異物」として片付けていたのです。 一方で、MITの材料科学者であるアドミール・マシック(Admir Masic)氏は長い間、「古代ローマ人があれだけ優れた建造物を築きながら、コンクリートの製造に手を抜いたとは考えられない。この話には何か続きがあるはずだ」と考えていました。 そこで同氏と研究チームは、2000年以上前のローマ時代の遺跡からコンクリートサンプルを採取し、X線分光法や走査
「この喩え話はコンセプトとしては正しいんですが、分かっていないことが3つあります。ひとつは水によって表される“眠気”が何なのか。我々の脳は覚醒時間をカウントして、カウントに応じて眠気が増しますが、竹筒に当たるそのカウンターが何なのか。そして水が溜まったとき睡眠にスイッチする情報伝達機構はどういうものなのかという謎です」 タンパク質のリン酸化が眠気の正体? そこで柳沢教授が行ったのが、8000匹にも及ぶ多数のマウスの脳波を計測し、睡眠に異常があるマウスを特定するという研究手法。 膨大な作業を経て見つかったのが、寝ても寝ても眠いという睡眠の特徴を持つマウス。「スリーピー」と名付けられたこのマウスはヒトで言えば「特発性過眠症」と名のつく睡眠障害に当たるそうだ。 で、このスリーピー、体内の特定のタンパク質をリン酸化させる酵素を作る遺伝子に変異があることが分かったという。ちなみにリン酸化とはタンパク
法政大学と京都大学の研究グループが、春先のコンクリート壁でみつかるカベアナタカラダニの真っ赤な体色の理由を解明した。 春先に発生して梅雨の頃に卵を産み、次の春まで卵で休眠することから、生存活動の中心は春である。コンクリート壁など日当たりの良い場所に生息し、花粉を主要な餌とする。このため、春先の強い紫外線と、輻射熱で40度以上にもなる過酷な環境下で生成される活性酸素による酸化ストレスに耐えることが、最も重要な生存への課題のひとつである。 カベアナタカラダニの派手な赤色の色素を分析したところ、抗酸化作用をもつケトカロテノイドであるアスタキサンチンと3-ヒドロキシエキネノンを多量に含んでいた。特に、アスタキサンチン濃度(334.8 ng/μg protein)は、報告のある甲殻類などの微小節足動物中でも最も高いレベルの値という。同じダニの中でもミカンハダニは、植物の葉上に生息し、強い日光にさらさ
体に悪いとも聞く人工甘味料は、砂糖と何が違うのか? ※写真はイメージです 運動は正直あんまりしてないし、ごはんもついつい食べすぎちゃうし、健康的な生活を送っているとはいえない。でも、でもね。コーラとかソーダを飲むときはシュガーフリーとかゼロカロリーの飲料を選んでいるんですよ......! ただ、なんか時々聞くじゃないっすか。「人工甘味料は健康に悪い」みたいなヤツ。あれ本当っすか!? どうなんすか!? あいつはダイエットの味方なんですか!? * * * ■口では同じだけど腸では違う! 運動するのはめんどくさい。でも、痩せたい。カロリーは気になる。でも、満腹感を得たい。そんな僕らが気になっていること。それは、ノンシュガーやゼロカロリーの飲料は飲んでもいいのかどうか。 それらの多くに含まれている人工甘味料っていったいなんなの? 体に悪いって話も聞くけど、砂糖と何が違うの? 味覚のメカニズムに詳し
エジプトのギザで写真撮影をする観光客。ピラミッドは砂漠に囲まれており、どのようにブロックが運ばれてきたのかが長年の謎だった。2021年10月21日撮影。 Wang Dongzhen/Xinhua/Getty Images 古代エジプト人は、現在の砂漠地帯に壮大なギザのピラミッドを建設した。 何トンもの重い石のブロックをどうやってピラミッドの場所まで運んだのか、長い間謎だった。 古代の花粉を追跡することによって、科学者たちは数千年前に消滅したナイル川の支流を発見した。 約4500年前にはギザの大ピラミッド群のすぐ近くを通っていたが、今は干上がってしまっているナイル川の支流を研究者たちが発見した。 この発見は、2022年8月29日、学術雑誌『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)』に掲載、発表されたもので、現在は
トンボは人間の5倍速い世界を生きている⁈ヒーリー氏は今回、多数の先行研究から、光のフリッカー(点滅)実験により生物の「時間知覚(または時間分解能)」を測定したデータを集め、分析しました。 時間分解能とは、ごく簡単にいえば、動いているものでも止まって見える能力を指します。 この実験では、光の点滅に対して視神経が情報を送るスピードを「網膜電図(ERG)」という特殊な装置で記録し、各生物が光の点滅をどのくらい速く感知できるかを測定しました。 ※ 網膜電図とは、光を感じた際に網膜が反射的に発生させる電位の変化を記録したもの 光の点滅に反応する網膜電位から「時間分解能」を調査 / Credit: canva 具体的には、光の点滅を一定の時間の中で繰り返し、その頻度が小さいときはフリッカー(ちらつき)を感じ、頻度が高いときは点滅が融合して持続した光に見えます。 パラパラ漫画をイメージすると分かりやすい
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