トンボは人間の5倍速い世界を生きている⁈ヒーリー氏は今回、多数の先行研究から、光のフリッカー(点滅)実験により生物の「時間知覚(または時間分解能)」を測定したデータを集め、分析しました。 時間分解能とは、ごく簡単にいえば、動いているものでも止まって見える能力を指します。 この実験では、光の点滅に対して視神経が情報を送るスピードを「網膜電図(ERG)」という特殊な装置で記録し、各生物が光の点滅をどのくらい速く感知できるかを測定しました。 ※ 網膜電図とは、光を感じた際に網膜が反射的に発生させる電位の変化を記録したもの 光の点滅に反応する網膜電位から「時間分解能」を調査 / Credit: canva 具体的には、光の点滅を一定の時間の中で繰り返し、その頻度が小さいときはフリッカー(ちらつき)を感じ、頻度が高いときは点滅が融合して持続した光に見えます。 パラパラ漫画をイメージすると分かりやすい
公園や道端で、雨の日などによく目にするカタツムリ。ほとんどが右巻きだが、沖縄には左巻きのカタツムリが何種類かいる。右巻きばかりの集団の中では左巻きは交尾相手にめぐまれず圧倒的に不利なはずなのに、なぜ左巻きが進化してきたのか? 長年解けなかったその謎に、「右巻きカタツムリを食べるのが得意な右利きのヘビがいたから」という仮説で挑んだのが早稲田大学の細先生。仮説をどのように検証し、大昔に起きた進化の秘密に迫ったのだろう? 1980年和歌山県田辺市生まれ。2003年京都大学総合人間学部卒業。05年同大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科一貫制博士課程修士号取得退学。08年同大学大学院理学研究科生物科学専攻修了。博士(理学)。東北大学大学院生命科学研究科、Naturalis Biodiversity Center(オランダ)等でのポスドクののち、京都大学白眉センター特定助教、東京大学大学院理学系研
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)の福田宏准教授は、欧米の古文献を再調査した結果、日本では食用として広く知られている貝類のサザエが、これまで有効な学名をもたず、事実上の新種として扱われるべきであることを解明し、サザエの学名を新たに「Turbo sazae Fukuda, 2017」と命名しました。本研究成果は5月16日、日豪共同刊行の軟体動物学雑誌「 Molluscan Research 」電子版に公表されました。 サザエは、日本ではアサリやシジミと並んで最もよく知られた貝類であり、国民的アニメーションの主人公の名前にもなっています。しかしそのような種ですら、我々人類はアイデンティティを正しく把握できていなかったのです。このことは、生物の種の正確な識別と同定がいかに困難であるかを示す一端として示唆的です。 <本研究成果のポイント>○ 地球上に存在するあらゆる動物の種のうち、学名のない種
タコは非常に高い知能を持っていることから「無脊椎動物界のスーパースター」と呼ばれており、人類滅亡後の地球の支配者候補とする意見や宇宙からやってきたエイリアンとの説まであります。そんなタコの賢さは、人間の脳にもある「ジャンプする遺伝子」ことトランスポゾンによるものではないかとの研究結果が報告されました。 Identification of LINE retrotransposons and long non-coding RNAs expressed in the octopus brain | BMC Biology | Full Text https://bmcbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12915-022-01303-5 Study: Same ‘Jumping Genes’ are Active in Octopus and Hu
「トキソプラズマに感染した個体とそうでない個体で、ライオンに近づく距離に大きな違いがあることを目の当たりにして愕然としました」と、米ミシガン州立大学の行動生態学者で、論文の共著者であるケイ・ホールキャンプ氏は語る。 トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は単細胞の寄生性原虫で、ネコ科動物を終宿主とするが、ヒトを含む哺乳類や鳥類を中間宿主とし、世界人口の少なくとも3分の1が感染していると言われている。この寄生虫はネズミなどの宿主を操り、イエネコなどのネコ科動物の近くで大胆な行動を取らせてネコに寄生することが知られる。しかし、野生の大型哺乳類に同じような効果を及ぼすことが研究者によって確認されたのは、今回が初めてだ。(参照記事:「トキソプラズマが人の脳を操る仕組み」) 加えて、トキソプラズマのように致命的な疾患は引き起こさない原虫が、野生動物の行動にこれまで考えられていたよりも大
水と構成元素が同じ重水は甘いようです。 4月16日に『Communication Biology』に掲載された論文によれば、中性子が1個追加された重水素からなる重水は、ヒトにとって甘く感じられることが示されました。 重水が甘いという逸話は1930年代から延々と伝えられているものの、常識的な研究者たちは「構造が等しいからには同じ味がするはずだ」と都市伝説扱いされてきました。 しかし今回の研究により、都市伝説が常識を打ち破る結果が明示され、多くの反響を呼んでいます。 しかし、構造が水と全く同じなのに、どうして重水は甘く感じられるのでしょうか?
「磯の香り」の原因は海洋から放出される硫化ジメチル(DMS) 新たな研究は、人為的に磯の香りを発生させる実験から、このDMSを作る原因細菌種を特定した さらにこの細菌が、親潮や津軽暖流など東北特有の海流に強く支配されていることを明らかにした 海を訪れたとき感じる独特の磯の香り。 この匂いは何なんだろう? と感じた人は多いのではないでしょうか。その原因は硫化ジメチル(DMS)という化学物質。海洋から大気中に放出されて、水蒸気の集まる核となって雲を生成しています。 ではこのDMSはどこから来るのでしょうか? DMSは、海藻や植物プランクトンが浸透圧を調節する際に出した物質を、海中の細菌が分解することによって発生したものです。 このように、磯の香りの大まかな原因はわかっていましたが、実際どの細菌が海中でどのように作用しているかという細かい調査は十分に行われていません。 そこで東京大学などの研究
カミソリやナイフの刃はステンレス鋼などの硬い材料で作られており、時にはダイヤモンドライクカーボンなどのさらに硬い材料でコーティングされています。そんなカミソリやナイフの刃が、金属よりずっと柔らかいヒゲや野菜を切っただけで鈍ってしまう理由を、マサチューセッツ工科大学の研究チームが突き止めました。 How hair deforms steel | Science https://science.sciencemag.org/content/369/6504/689 Why shaving dulls even the sharpest of razors https://phys.org/news/2020-08-dulls-sharpest-razors.html 人間の毛はカミソリの刃より50倍も柔らかい素材ですが、それにもかかわらずカミソリの刃は使い続けると切れ味が鈍り、交換しなければい
その名も「なで石」 はじまりは、あるテレビ番組を目にしたことだった。夜、何気なく観ていたバラエティー番組の中で、不思議な石が紹介されていた。 その石は “なで石” と言い、なんでも撫でてから持ち上げると軽くなり、叩いてから持ち上げると重くなるのだという。奈良県吉野郡天川村の龍泉寺の境内に置かれているというその石に、妙に魅かれたというのが事の始まりであった。 幼少の頃から不思議な現象に興味があった。寺田寅彦の随筆集に出てくる、「自然現象の不思議には、自分自身の目で脅威しなければならぬ(=驚かねばならない)」という言葉にも強く背中を押された。 早速、Google mapで奈良県吉野郡天川村を調べてみた。一見すると、周りを山々で囲まれた険しい土地のようだ。近くを国道309号が通っているものの、どのようにアクセスすれば良いのか皆目見当がつかなかった。 まずは天川村の役場に連絡しアクセスを聞いてみた
What!? How is this even possible? Because science, my friends. Brusspup’s (previously) latest video explores what happens when a stream of water is exposed to an audio speaker producing a loud 24hz sine wave. If I understand correctly the camera frame rate has been adjusted to the match the vibration of the air (so, 24fps) thus creating … magic zigzagging water. Or something. Here’s a little more
rest your head flickr photo by Real Cowboys Drive Cadillacs shared under a Creative Commons (BY) license 爽やかに晴れた日の午後に布団を干すとどういうわけか、心地よく眠れそうなとてもいい匂いになる。いわゆる「お日様の匂い」だ。しかしながら、この「お日様の匂い」の正体が「ダニの死骸」から発せられる匂いであるという俗説が一部で流布している。 確かに布団を干すことによって布団表面のダニは死滅するが、「お日様の匂い」の正体が本当にダニの死骸がであるならば、干さなくとも布団は常に「お日様の匂い」が発せられることになるはずであるが、そうはならない。 大手化粧品企業のカネボウ化粧品の研究によって、この「お日様の匂い」は布団の綿などの繊維が太陽光によって分解されることにより発生することが明らかとなってい
私たちは日常的にさまざまなものの匂いを嗅ぎ、多くの情報を得ています。そんな匂いに関する「知られざる5つの事実」について、イギリスの日刊紙フィナンシャル・タイムズのカスタマープロダクトチームで働くAlice Bartlettさんがまとめています。 Five facts about smell writeup http://alicebartlett.co.uk/blog/five-facts-about-smell ◆1:嗅覚は人間が持つ3つの化学感覚の一つである Bartlettさんによると、人間は味覚・皮膚感覚・嗅覚という三つの領域で化学物質を感知します。味覚はいくつかの重化合物を感知し、三叉神経が担う皮膚感覚はカプサイシンやメントール、炭酸飲料の炭酸ガスといった刺激物に対して反応し、嗅覚は揮発性の軽い化合物を検出するとのこと。味覚は舌と喉で感知し、皮膚感覚は体全体で、そして嗅覚は鼻腔の
両手を重ねるボクサー(2018年1月31日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / LILLIAN SUWANRUMPHA 【3月30日 AFP】指の関節がポキッと鳴る原因は一体何か。科学者らが100年以上頭を悩ませ続けてきたこの謎の解明に成功したとみられる研究結果が発表された。 好きか嫌いかはさておき、非常によく耳にする指の関節音については、指の全ての関節を鳴らせるわけではないこと、一度鳴らした関節については20分待たないと鳴らせないことなどが、過去の研究で立証されていた。 だが、音の発生源については謎のままだった。 指関節の「ポキッ」という破裂音はまさしく文字通りの現象であることを明らかにした研究論文が29日、発表された。この特徴的な音は、手の関節液の微小な気泡が崩壊することで発生するのだという。 仏エコール・ポリテクニーク(Ecole Polytechnique)と米スタンフォ
プールで臭うツンとした感じの「プールの臭い」の原因を、塩素の臭いだと思っている人も少なくないはず。そんなプールの臭いは実のところ「おしっこがプールの塩素と反応した化学物質の臭い」であり、おしっこのせいで発生した化学物質は人体に有害であるとサイエンス系メディアのScienceAlartが報じています。 That 'Clean Swimming Pool' Smell Is Actually Bad For Your Health... And Really Gross https://www.sciencealert.com/that-clean-swimming-pool-smell-is-actually-bad-for-your-health-and-really-gross きれいに見えるプールにも75リットルのおしっこが含まれていることが以前から報じられており、オリンピックで大量の
雨雲や雪雲の動きが気になる中、18日(土)15時頃のレーダー画像をみると、秋田県付近では、奇妙なドーナツ型が見られます。このレーダーにみられる現象を、「ブライトバンド」と呼びます。 最新の雨雲レーダーを確認する この現象、一言で言うと「雨雲レーダーが雨雲に過剰に反応してしまっている状態」になります。 雨雲レーダーは通常、雨粒や雪の結晶などに反応して、雨雲を描きます。一方でブライトバンドは、回転するレーダーが上空で雪から雨に変わっている部分(融解層)をとらえたときに発生する現象です。 粒子の大きさ、落下速度が変化することで、レーダーの反射率が急増するために発生すると言われています。 1.強い雨が降っているとは限らない あくまでもレーダーが強く反応しているため、リング状の雨雲の下では必ずしも強い雨が降っているとは限りません。 2.山では雪傾向になる この雨雲が出ているという事は、上空は雪になっ
犬がうんち前にくるくる回るしぐさ 犬を散歩させていて、うんちをする様子を見せた時、くるくると忙しなく回ってなかなかポジションが決められなさそうな姿を見せる......というのは、飼い主にとっては見慣れた光景かもしれない。あの姿が実は、方角を探している姿だった、とはご存知だっただろうか。 地磁気(地球により生じる磁場)と動物の生態について研究しているチェコ生命科学大学とドイツのデュースブルク・エッセン大学の研究者からなるチームによると、牛やノロジカ、アカジカ、アカギツネなど複数の哺乳類には、磁場を感じる能力が備わっている。犬も帰巣本能が高いことからして、磁場を感じ取る能力があるだろうと考え、研究チームは犬の行動と磁場の関係についても研究を始めた。 犬のさまざまな行動(休んでいるとき、餌を食べているとき、用を足しているとき)を観察していたのだが、犬が「用を足す時」が、時間や場所にかかわりなく多
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