連れ子は相続できない?子連れの再婚における相続の注意点と対処法
近年、婚姻件数の減少に対し、再婚率は上昇傾向にあることが厚生労働省のデータにより明らかになっています。再婚となると、どちらかが子連れであるケースもあるでしょう。
そのとき、「相続権」について対策をしていないと、本来第一順位の相続人として遺産を相続できるはずの子どもが、相続人になれないことがあります。では「連れ子の相続権」はどのような対策が必要なのでしょうか。
目次
連れ子が「相続人」になれない理由
再婚相手の子どもは一般的に「連れ子」という言い方をしますが、再婚後、実子と共に暮らすような場合、連れ子は住民票において「妻の子」または「夫の子」と表示されます。
つまり、ただ再婚しただけでは再婚相手と連れ子の間には、法律上の「親子関係」は発生しないのです。そのため、再婚相手が亡くなって相続が発生した場合でも、連れ子は法的に相続権のある相続人になれないのです。
連れ子が相続人になれない場合のトラブル事例
両親の再婚後、実親が亡くなって相続が発生すると、相続人となるのは「配偶者(実親の再婚相手)」と「実親の子ども」です。
仮に実親が1億円の財産を残していた場合、法定相続分は2分の1ずつとなるため、それぞれ5000万円ずつ相続することになります。
ところが、その後に実親の配偶者である再婚相手が亡くなった場合、元々は実親の財産であった5000万円が再婚相手の相続財産として残るはずですが、再婚相手との間に親子関係が生じていないため、子どもはその5000万円を一切相続することができないのです。
子連れ再婚は「養子縁組」が必要
連れ子が相続人になるためには、再婚相手と「養子縁組」をすることで法的に親子関係を生じさせる必要があります。
養子縁組には次の2種類の制度があります。
- 普通養子縁組
実親との親子関係を残したまま、養親(養子縁組する再婚相手)とも親子関係を結ぶ制度。 - 特別養子縁組
実親との親子関係を断ち切って、養親と親子関係を結ぶ制度。
「特別養子縁組」については、なんらかの事情で実親が子どもを育てられないような場合に用いられる制度で、6歳までの子どもが対象となります。
再婚における養子縁組の場合は、「普通養子縁組」の制度を利用するのが一般的です。再婚相手の連れ子に遺産を残したい場合は、生前にその手続きをしなくてはなりません。
「養子縁組」の手続き方法
「普通養子縁組」の手続きは、基本的に必要書類を揃えて最寄りの市町村役場で行います。
必要書類
- 養子縁組届
- 養親、養子それぞれの戸籍全部事項証明書
- 印鑑
- 本人確認書類
通常、未成年者を養子にする場合は家庭裁判所の許可を得る必要がありますが、再婚相手である配偶者の子どもと養子縁組する場合は不要です。また、養子縁組届には、20歳以上の証人2名の署名が必要になります。
養子縁組後、実親の財産は相続できる?
ところで、連れ子と再婚相手が養子縁組をした後に実親が亡くなった場合の相続はどうなるのでしょうか。
「普通養子縁組」については、前述のとおり、実親との親子関係は残るため、相続人としての権利も残ります。よって、実親と再婚相手、両方の相続権を持つことになるのです。
おわりに
以上のように、「普通養子縁組」をすることで再婚相手との親子関係が生じ、相続人となることができます。ただし、養子縁組の手続きは相続が発生した後ではできません。子どもを連れて再婚する場合、新しい家族の未来のために、発生し得る相続も含めて話し合いましょう。
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