遺言書の優先順位は作成日で決まる!遺言書の変更手順のまとめ

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遺言書の優先順位は作成日で決まる!遺言書の変更手順のまとめ

著者: 棚田 健大郎 行政書士・ファイナンシャルプランナー・相続アドバイザー

自分に万が一のことがあった際に、誰に遺産を託したいのか、事前に考えて「遺言書」に書き残しておくことはとても重要です。有効な遺言書が残されていれば、遺産相続をスムーズかつ平和的に終えることができます。とはいえ、遺言書を書いた後になって、「やっぱり気が変わった」ということもあるでしょう。

そこで今回は、遺言書を書いた後に「気が変わってしまった場合」の対処法について解説します。

目次

遺言書の内容を修正する方法

遺言書は一度書いたあとでも、任意に修正を加えることが可能です。

例えば、自分の直筆で書く「自筆証書遺言」であれば、次のような手順で修正することができます。

  1. 修正したい箇所に「二重線」を引きます。この際、原文が読み取れるようにすることがポイントです。修正せず、書き足すだけの場合は、挿入する箇所に「 { 」のしるしを記入します。
  2. 修正または書き足す文章を、修正したい箇所のすぐ上に記入します。
  3. 変更した部分に捺印をします。この時の印鑑は、実印である必要はありませんが、もともと遺言書に捺印している印鑑と同じものを捺印する必要があります。
  4. 欄外の部分に「◯行目◯字削除◯字加入」と付記をして、自分の名前を署名します。

もしも遺言書を書いている途中に気が変わったり、間違えてしまったりしたような場合であれば、この修正方法で対処すれば大丈夫です。

公正証書遺言を変更するには、原則として書き直し

ただし、公証役場で「公正証書遺言」を作成している場合については、役場からもらった遺言書に上記の手順で変更を加えても意味がありません 。公正証書遺言は「原本」を役場が保管しているため、本人の手元にある遺言書の控え(「謄本」と言います)に修正を加えても、修正したことにはならないのです。

また、遺言書を書いた後に、相続人予定者が死亡するなど、さまざまな事情の変化が起きて、遺言書の内容をまったく別物に変えたくなったような場合は、次のような対処が必要となります。

自筆証書遺言の場合は、すでに完成している遺言書を自分自身でシュレッダーにかけてしまえば、もともとなかったことになります。

しかし、公正証書遺言については原本が役場に保管されているため、手元にある控えを破り捨てたとしても、もともとの遺言書が有効なままです。

また、秘密証書遺言の場合は、遺言者、証人、公証人が捺印している封筒を一度開封しなければならないため、原則として修正することはできません。

このような場合は、新たな遺言書を作成して遺言書の内容を更新する必要があります。遺言書の優先順位は、遺言書の種類に関係なく「作成日」の新しいもの順に有効となります。

ですから、すでにある公正証書遺言の内容を、新たな公正証書遺言で更新することもできますし、自筆証書遺言で更新することもできます。遺言書には、「公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言」の3つの種類がありますが、どの作成方法でも優先順位に関係はありません。あくまで「作成日」で判断されます。

遺言書に日付がないと「無効」とされる理由は、ここにあるのです。ですから、遺言書を書いた後に気が変わった場合は、もう一度新たな遺言書を書き直しましょう

遺言書は全部書き直す必要があるのか

遺言書は内容によってはかなりの文字数になります。自筆証書遺言の場合は、すべてが直筆となるため、ちょっとの修正や加筆のために、全部を書き直すことは大変です。

そのような場合は、修正や加筆したい内容だけを、新たな遺言書に書けば問題ありません。古い遺言書と新たな遺言書は、内容の重なる部分のみ新たな遺言書の内容で上書きされます。

よって、新たな遺言書で触れていない内容については、そのまま古い遺言書の内容のまま残るため、あえて新しい遺言書に同じことを書く必要はありません。

遺言書の変更は「公正証書遺言」がおすすめ

遺言書の内容を変更したくなったら、できる限り「公正証書遺言」で作成することをおすすめします。なぜなら、遺言書が2通見つかった場合にどちらの遺言書を有効とするかで争いが起きる可能性があります。

日付が新しい方が有効ではあるものの、そもそも遺言書が複数見つかった場合は、相続人が各々自分に都合の良い遺言書の有効性を主張し始めるため、自筆証書遺言では偽造、変造を疑われるリスクがあるのです。

そのため、遺言書を作り直す際には、できる限り厳格な方式である「公正証書遺言」で作成することをおすすめします。

おわりに

遺言書の修正は、自筆証書遺言で修正が軽微なものであれば、訂正印による対応でも問題ありませんが、修正箇所が多かったり、公正証書遺言や秘密証書遺言だったりする場合は、再度新しい遺言書を書いて更新する必要があります。

あくまで、古い遺言書に抵触する部分が上書きされるため、その点に注意して新たな遺言書を作成しましょう。

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