「ガソリン高すぎ!」暫定税率廃止により価格高騰の歯止めが期待される一方、リスクも・・・ - 税理士ドットコム

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「ガソリン高すぎ!」暫定税率廃止により価格高騰の歯止めが期待される一方、リスクも・・・

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「ガソリン高すぎ!」暫定税率廃止により価格高騰の歯止めが期待される一方、リスクも・・・
YsPhoto / PIXTA

ガソリン価格の高騰が止まらないーー。政府はこれまでレギュラーガソリンの小売価格が1リットル当たり175円になるように調整する「ガソリン補助金」を、石油元売り各社に支給していた。ところが政府の経済対策により、補助金が段階的に縮小されることが閣議決定された。

これにより、12月に続き、1月16日から補助金が1リットル当たり5円程度縮小され、2月3日時点のレギュラーガソリンの小売価格は、全国平均で184.6円/1リットルとなった。

ガソリン価格の高騰は、さまざまな場面で影響を受けることになる。国民民主党の玉木雄一郎議員は、youtubeチャンネルで、ガソリン価格高騰による影響を以下のように指摘。

「車を持っていない方にも影響があり、結局物流コストが上がってくる。商品価格に転嫁されるため、物価高騰で苦しんでいる中で、それを再燃させてしまう可能性が高い」

「トラック運送業者の方に聞くと、月に600〜700万円油代が上がるということですから、年間1億円弱コストが高くなる。賃上げの原資が吹き飛ぶということ」

玉木氏は、ガソリン価格高騰の影響を述べた上で、「3党合意のとおり、ガソリンの暫定税率を廃止して25円10銭をなくすことが、物価高騰を抑えることになる」と話した。

改めて、ガソリンの暫定税率とは、どういったものなのだろうか。

●暫定税率により、1リットルあたり25.1円が上乗せ

ガソリンの暫定税率(当分の間税率)とは、1974年に道路整備の財源不足を解消するため導入された。2009年に道路特定財源が廃止され、現在は使い道が限定されない一般財源に充てられている。ガソリンには1リットルあたり、本税28.7円に加え、暫定税率25.1円が上乗せされている。

2024年、国民の手取りを増やす政策を掲げ衆院選で議席を伸ばした国民民主党は、ガソリン価格の値下げを訴え、12月に自民・公明・国民民主の3党において、ガソリンの暫定税率の廃止を盛り込んだ合意書を交わしている。

ガソリンの暫定税率が廃止になると、どういったことが起きるのだろうか。米世 毅税理士に聞いた。

●暫定税率の廃止により、物価全体の上昇を和らげる効果が期待できる

ーーガソリンの暫定税率が廃止になった場合、国民生活にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

「暫定税率が廃止されれば、ガソリン1リットル当たり25.1円の税負担が減り、輸送コストも下がります。その結果、商品価格への転嫁が抑えられ、物価全体の上昇を和らげる効果が期待できるでしょう。

特に車の利用が多い地域や、物流業界では経費の圧縮につながり、家計や企業の負担が軽減されることが見込まれます。さらに、運送コスト低下による流通過程での価格上乗せ減少が、消費者の購買意欲を高め、地域経済や景気の回復を後押しすることが期待されます。」

●暫定税率の廃止による税収減で、別の形で国民負担が増大するリスクも

ーーガソリンの暫定税率が廃止になった場合に、考えられるデメリットとはどんなことでしょうか。

「暫定税率を廃止すると、その税収が失われ、道路整備や公共インフラ維持に充てられていた財源が不足するリスクがあります。その結果、老朽化対策が後手に回り、事故や渋滞の増加など社会的コストが高まる懸念があるでしょう。

また、減少した税収を補うために、新たな増税や国債発行が検討される可能性もあり、国民負担が別の形で増大するリスクがあります。こうした財政面や公共投資とのバランスを慎重に見極める必要があると考えます。」

●財源確保には、民間企業と同様に無駄な歳出削減を進める必要がある

ーー暫定税率による税収は年間1.5兆円程度であり、ガソリン補助金は22年からすでに6兆円投じられているとされています。税収は減るものの、3党が合意したとおり、暫定税率の廃止を直ちに実施したほうがいいようにも思えますが、ご意見をいただけますでしょうか。

「民間企業出身の税理士の意見にはなりますが、個人的には、補助金が多額に投じられている現状を踏まえれば、暫定税率廃止で直接的な価格の引き下げを図ることは国民生活にプラスになると考えます。

しかし、その場合、道路整備など公共インフラの安定財源をどう確保するかが課題となります。その財源確保のため、代替の税制に頼るのでなく、民間企業と同様に、無駄な歳出削減を進める必要があると考えます。」

【取材協力税理士】
米世 毅(よねせ たけし)税理士
資生堂本社、資生堂パーラーの経理部門に勤務後、税理士米世毅事務所を開業。会計・税務の専門知識に加え、事業会社で培った視点と現場対応力を駆使し、税務や財務の複雑な課題に対して実践的な解決策を提案。企業経営者であるクライアントの視点を理解しつつ、よりよい未来のための戦略を共に考えることを使命としている。
事務所名 :税理士米世毅事務所
事務所URL:https://tax-yonese.jp/

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