香典やご祝儀は経費になる?冠婚葬祭費の会計処理と注意点
香典やご祝儀は気持ちで包むものとはいえ、事業としては「支出」になります。取引先にお渡しする場合もあれば、役員や従業員に包むケースもあるでしょう。
では、そのような冠婚葬祭費は、経費として計上してよいのでしょうか? 具体例を挙げて、わかりやすく解説します。
目次
ご祝儀や香典は経費になるの?
香典や祝儀などの慶弔(けいちょう)費は、その内容によっては経費として計上できます。ポイントは「だれの冠婚葬祭なのか」と「いくら包むのか」の2点です。
それぞれのポイントについて、詳しく確認しましょう。
point1 だれの冠婚葬祭にかかった費用か
自社と関係のある個人や団体、企業の冠婚葬祭であれば、香典や祝儀を経費として計上してOKです。
具体的には、従業員へ渡す結婚祝い、取引先の方のお葬式で包んだ香典などが該当します。これらは、福利厚生費や交際費として計上します。
一方、事業とはまったく関係のない親族・友人の慶弔費は計上できません。
特に個人事業主の方や少人数の会社であれば、事業関連のものとプライベートなものとは分けて記録しておくようにしましょう。
point2 いくら包むのか
基本的には上記の判断基準でOKですが、あまりにも高額な香典やご祝儀を包む場合には注意が必要です。
なぜなら、冠婚葬祭費を経費として計上するには税務上「社会通念上、一般的な額の範囲内」であることが条件だからです。つまり、「常識の範囲内」での相場金額でなければなりません。
また、高額すぎる香典やご祝儀は「給与」や「贈与」とみなされる可能性もあり、受け取った側にも納税義務が発生するリスクが考えられます。
もし、給与や贈与とみなされてしまうと、受け取った側が所得税や贈与税を納めなければならないのです。
とてもお世話になった方への慶弔費は惜しみなく包みたいところではありますが、そのような懸念があることも考慮しましょう。
交際費と福利厚生費、どちらで計上する?
基本的には、以下のように判断できます。
- 取引先の冠婚葬祭に参加する場合:交際費
- 役員や従業員の冠婚葬祭に参加する場合:福利厚生費
ただし、慶弔費を福利厚生費として計上するには、あらかじめ社内で「慶弔費支給規程」などルールを制定しておきましょう。
「寄付金」となるケースも
地域行事などへの祝儀に関しては「交際費」ではなく、「寄附金」に該当する場合もあります。
寄附金も経費として計上できますが、計上できる金額には上限があるので注意が必要です。
交通費や宿泊費も経費にできる
冠婚葬祭に参加するにあたり、会場への移動やホテルへの宿泊なども必要になるでしょう。実は、こういった交通費や宿泊費も経費として計上できます。
したがって、冠婚葬祭への参加のために新幹線や飛行機代、ホテル代などが発生したら、その領収証などを保管しておきましょう。
記帳の際には、従業員関係の場合は「旅費交通費」を、取引先関係の場合は「交際費」を使います。
領収書がなくても大丈夫?
通常、祝儀や香典を渡す場合は、領収書やレシートといった書類を受け取ることはありません。
しかし、経費として計上するのであれば、その証拠を残しておく必要があります。そこで、こういった”領収書がないとき”の対応方法についても確認しておきましょう。
日付や祝儀・香典の金額を記録しておく
領収書がない場合、メモ用紙などで構わないので「支払った日付、相手名、金額、内容」を記録しておきましょう。
こうすることで、ご祝儀や香典の支出を示す領収書の代わりとすることができます。
また、支払った際に「出金伝票をおこす」という方法もあります。
出金伝票とは現金で支払う際に使う伝票の一種で、文具店などで数百円程度で購入できます。伝票には支払日、支払先、摘要、金額を記載しましょう。
さらに、案内状や会葬礼状もあわせて保管しておくとなおよいです。
おわりに
香典やご祝儀などは、領収書がなくても経費として計上できます。この記事で解説したポイントをしっかりおさえておきましょう。
しかしそれでも判断に迷うことがあるかもしれません。
わからないからといって適当な判断をしてしまうと、後々税務調査でミスが発覚し、加算税などペナルティが発生してしまう恐れもあります。
そんなときは、無料で税理士に税務相談ができる「みんなの税務相談」サービスをご活用ください。
また、現在自力で確定申告や決算を行っている場合は、顧問税理士をつけることも検討してみましょう。
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