そんな折も折に刊行された、名物書店人の思索の記録。ジュンク堂難波店で9年前、「店長本気の一押し!『NOヘイト!』」フェアを企画。差別に満ちた出版物に、旗幟(きし)を鮮明にしながら排除はせず、店頭に並べてのけた男。 著者の持論は「書店は言論のアリーナ(闘技場)」だ。ゆえに「自由な表現を糾弾するのか」にも、「知識の乏しい人が感化されたら」にも、つまりどちらからのクレームにも動じない。すでに存在するものを隠蔽(いんぺい)すれば、構造の強化に通じかねない。対峙(たいじ)して議論することが肝要という。
そんな折も折に刊行された、名物書店人の思索の記録。ジュンク堂難波店で9年前、「店長本気の一押し!『NOヘイト!』」フェアを企画。差別に満ちた出版物に、旗幟(きし)を鮮明にしながら排除はせず、店頭に並べてのけた男。 著者の持論は「書店は言論のアリーナ(闘技場)」だ。ゆえに「自由な表現を糾弾するのか」にも、「知識の乏しい人が感化されたら」にも、つまりどちらからのクレームにも動じない。すでに存在するものを隠蔽(いんぺい)すれば、構造の強化に通じかねない。対峙(たいじ)して議論することが肝要という。
このたび、『岩波講座 社会学』が正式に刊行開始となりました。前回の「岩波講座」からほぼ30年経つ。私のほかに、北田暁大、筒井淳也、丸山里美、山根純佳の各氏が全体の監修を務め、テーマごとに編集される全13巻の各巻に、そのテーマに造詣が深い社会学者が編者になります。 前回の「岩波講座」が刊行されたときは、たしか私はまだ院生でした。貪るように読んだことを覚えています。あれから社会も、社会学も、大きく変化しました。 前回は上野千鶴子や吉見俊哉、大澤真幸などが全体の監修者で、巻数も26あったと記憶しています。各巻のタイトルも凝ったものが多かった。執筆者も社会学プロパーだけでなく、竹田青嗣などの周辺領域の方が入っていました。文体や内容も派手で、自由で、雑多で、それほど社会学とは関係のないものもたくさんありました。もちろんそれだけではなく、当時の最先端の社会学的な議論をしている論文もたくさんあって、たと
書店員の仕事にはマニュアルがなく、口伝や仕事を盗んで覚えるしかないと言われてきた。そんな中『本を売る技術』という本が売っていたので買ってみたところ、本書には自分が書店員になったときに口伝で教わったことや、誰からも教わることなく、働いていた間にトライ&エラーを繰り返して、最適解だと思ってやっていた技術が書かれていた。本書を読み終えたとき、書店員になったときに、この本があれば、あんなに苦労しなくても済んだのに!という思いが強く残った。 書店を辞めてから5年近くが経ち、だんだん書店員時代の記憶もうすれつつある。自分が書店員時代に見聞きした、書店における暗黙知のようなものが、本書には論理的にまとめられていた。ここまで書店員の仕事を論理的に書いてある本はいままで見たことがない。とりあえず全書店員は本書を教科書のように読んだらいいと思う。加えて、10年間書店員として働いていた際、自分が意識していたこと
非常に気が重いが、この本をご覧の展開をして販売している身として沈黙している訳にはいかず、私見を述べておきたい。 そもそも諸悪の根源は何か?ということを忘れてはいけないのではないか。 諸悪の根源とは差別であり、差別思想を撒き散らす者の存在である。 pic.twitter.com/6QrOIVQ0da — 日野剛広 (@Nanoruhino) December 10, 2019 おそらく、日野店長のコメントを全面的に否定されるような書店関係者はいないのではないかと思います。 もちろん完全に同書の意義を認めない人もいましたが、ほとんどの人は永江さんという著者のこれまでのお仕事に敬意をもっていて、そしてなにより「書店とヘイト本」の問題をシリアスに考えている。 (だからこそ、その期待に及ばなかったところに苦いコメントが出てくるのでしょう) 以下では、まず①同書についての批判的な指摘(全否定的な感想は
こんにちは、ブクログ通信です。 久禮書店の久禮亮太(くれ・りょうた)さんが、2017年10月『スリップの技法』(苦楽堂)を刊行しました。久禮亮太さんは、「いろいろな場所にはみ出して本屋をやる試み」と「専業の新刊書店のみなさんと一緒に今ある書棚を面白くしていく仕事」、このふたつに取り組む「フリーランス書店員」として、注目を集めています。いま主に取り組んでいるのは、「神楽坂モノガタリ」の選書です。 今回ブクログ通信では、久禮さんに『スリップの技法』刊行インタビューを試みました。まずインタビュー前編では、どんないきさつでこの本を刊行したのかを聞き、本に収録された各章の狙いを伺います。そして久禮さんは自らの著書が出版不況に対してどんな役割をもつと考えているか、その考えに迫ります。出版や書店に関わるかただけでなく、本が大好きなかたはぜひご覧ください。 取材・文・撮影/ブクログ通信 編集部 大矢靖之
こじま・しゅんいち 1957年福岡県生まれ。明治大学政治経済学部卒業後、1982年に東京出版販売(現トーハン)入社。2005年に経営企画室長として「王様の本」に出向するも経営再建ならず。その後、トーハン執行役員近畿支社長、九州支社長を経て、2013年、明屋書店社長に就任。経営再建を果たして現在に至る。中小企業診断士・産業カウンセラーの資格も持つ。 Photo by Toshiaki Usami もともと私は出版取次大手トーハンの人間です。地方書店の経営者とお会いすることが多かったのですが、中には決算書の読めない経営者も少なくありませんでした。 そのため、銀行とはかなり不利な交渉をしているように感じていました。担保となる資産があれば別ですが、書店の経営環境が厳しい今の時代、書店が単に「お金を貸してくれ」と頼んでも、銀行は首を縦に振らないでしょう。 とはいえ、決算書の読み方に関する本は世の中に
あまりにおもしろかったので一気に読んでしまった。この本に書店員の矜持というものをみた。この本は現役の書店員にとって、宝物といってもいい1冊だろう。だからこそ、まずは多くの書店員に読んで欲しい。まちの本屋でもここまでのことができるのか!という驚きとともに、自分たちにもまだまだできることがある。そう思わせてくれる本だからだ。たくさんの書店員がこの本を読むことで、本屋が活性化されることを切に願う。また書店員じゃない人でも、この本は楽しめる。とくに本が好きな人にはぜひ読んでもらいたい。こんな書店員がいる本屋がちかくにあったら、絶対に通って本のことを話してみたいと思うはずだから。 読者の楽しみは、読者が自分で本を選択するところから始まります。そう、自分で選ぶ楽しみと喜びを味わうこともまた、読書の一部と言えるのかもしれません。 これを読んだとき、HONZの朝会を思い浮かべた。朝会というのは読んだ本では
JR新宿駅から徒歩10分、新宿御苑そばに小さな書店がある。古びた木彫の看板には「模索舎」の文字。一見、古書店のようだが、れっきとした新刊書店だ。店内には、天井にいたるまでびっちりと本が並んでいる。だが、この書店の品ぞろえは他とはひと味違うことで知られる。 天皇制、赤軍、アナーキズム、監獄・死刑、戦争責任、マルクス主義、原発など店内のジャンル区分はずいぶんトバしている。 そこには、あらゆる情報をフラットに取り扱う模索舎の理念がある。思想信条や、メジャー、マイナーで区分はされない。実際、模索舎は左翼関係の書物ばかりでなく、右翼関係の書物も取り扱う。さらに、自主制作のミニコミや、Tシャツ、CD、DVDといった、サブカル系のアイテムも充実している。 模索舎の歴史は1970年代初頭までさかのぼる。全共闘運動に関わる学生たちが、自分たちの出版物を新たに作り、流通させる拠点として作られた。自主制作物であ
紀伊国屋書店といえば、本の業界にいれば知らぬ者なしの大手ナショナルチェーンである。某 T 社が年間売上高で紀伊国屋書店を抜いたと息巻いているが、こちらは FC システムで、多数の加盟企業の集合体、すべて直営店での運営の紀伊国屋書店とは比べられない。そして、すべて歴史と経験則で測ることはできないが、書店業は色々な意味で、それらが大いにものを言うのも事実である。書店はノウハウを持つ書店人と看板で成り立つものである。(もうそんな時代じゃないよ、という声が聞こえるが)その意味でも、紀伊国屋書店の業界での地位は揺るがないであろう。 紀伊国屋書店創業者の田辺茂一氏は僕らの世代にとっては馴染み深く、よく NTV の「 11PM 」に出ていたことを思い出す。この人物と、文化を売る「紀伊国屋書店」とのイメージギャップが大きく、戸惑うことしきりであった。余談だが、同様なことで思い出すのは、(最近は違うかもしれ
2012/11/2111:0 『飯田のミクロ 新しい経済学の教科書1』出版記念 ふらっとすぽっとライブトーク 『飯田のミクロ 新しい経済学の教科書1』(光文社新書)の刊行を記念し、紀伊国屋新宿南店のイベントスペース<ふらっとすぽっと>にて、トークショーが開かれた。経済学者の飯田泰之が、経済学を学ぶ意味や経済政策について語った。■『飯田のミクロ』 ――最初に、いま経済学を学ぶことにはどんな意味があるとお考えかお話ください 飯田 経済学に限らず、「なんとか学」を学ぶということは、自分の中に考えるための型を持つことだと思っています。そして「思考の型」を持つためであれば、文系ですと、法学と経済学が適している。というのも法学と経済学はその教育課程自体において「思考の型」が明確に意識されている学問ですから。他の、文系分野はそれをあまり自覚していないように感じられる。「思考の型」を持つためにも、経済学を
出版社内容情報 出版流通の現況に抗うように「意思ある本屋」であり続けようとする書店員・書店主たち。彼らの姿を追い、“本を手渡す職業”の未来を探る異色のルポ。 内容説明 東京の商店街でわずか五坪の本屋「ひぐらし文庫」をはじめた原田真弓。「電子書籍元年」を迎えて「紙の本」の優位性を述べる論客、ジュンク堂書店の福嶋聡。和歌山の「人口百人の村」でイハラ・ハートショップを営む井原万見子。岩手・さわや書店の元「カリスマ」伊藤清彦と、その“弟子”田口幹人、松本大介。“普通の本屋”を追求し実践する鳥取・定有堂書店の奈良敏行。名古屋の「大きな壁」、ちくさ正文館の古田一晴…。街から書店が次々と消え、本を売るという役割が小さくなりつつあるなかで、彼らのような「本屋」が「本屋」でありつづけるべき意味とは―?“あきらめの悪い”「本屋」たちを追う。 目次 序章 彼女を駆り立てたものは何か? 第1章 抗う女―原田真弓が
ウゴウゴ化する世界 第3回 阪根正行氏 ■建築周辺について ―現在、書店員として活動されている阪根さんですが、もともとは建築設計を生業として活動されていました。その関係で、建築に対する執筆や活動が現在も多いですね。その中でも、ユリイカでのインタビューやArt and Architecture Reviewへの寄稿など藤村龍至さんと関係することが多いかと思います。 藤村さんの活動は、特にround about journal以降の活動についてはこの時代において、ある種特異な存在に映ります。阪根さんは藤村さんの活動をどのように見られていますか。 藤村さんの能力の高さで一番評価されているのはムーブメントを起こそうとしているところだと思います。 しかしこれは藤村さんのアナウンスが上手くいっているというより他の人が誰もしないということです。理論構築ができて、メディア活動ができても、実作が伴って
ぱふ 2011年 08月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 雑草社発売日: 2011/06/30メディア: 雑誌 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見るご無沙汰しております。1年ぶりぐらいの更新になります。月日のたつのは早いものです。 僕にとっても、この国にとっても、この一年はかなり激動の一年でしたが、これからの一年もどうなることやら。 2011年も半分が経過したということで、今日からブログを再開したいと思った次第です。そうです。ただの思い付きです。平社員でも思いつきでモノを言います。 ということで今日ご紹介したいのは、今日発売の「ぱふ」。8月号は「本屋マンガ」特集なんですね。あまりにマニアックな特集なので、実売率大丈夫なのかと要らぬ心配をしてしまいそうですが、普段雑誌を買わない僕が買ったので新規顧客開拓にはつながったかもしれません。どんな本屋マンガが特集されているのか、ちょ
こういうブログを書いてたりするぐらいですから、ふだんから「書店」や「本屋」が書名に入っていたり、テーマになっていたりする本には、アンテナをはっているほうだと思います。幸い、神保町には、三省堂書店神保町本店の4階に、本の本を集めた、いい棚がありますし、岩波ブックセンターにもマスコミ関連本の棚があります。東京堂書店も、この手の本には強い。ということで、その手の本のチェックには最適な環境にいるんですが、それでもまだまだ知らない本はあるんですよねえ。たとえば、これ。 『ワンテーマ指さし会話 ロンドン×本屋 とっておきの出会い方シリーズ』(情報センター出版局) 『ロンドン×本屋』。いろいろなジャンルの新刊をチェックしてはいますが、さすがに「旅行会話」はチェック対象外。この本は存在も知りませんでした。本がらみの情報にくわしい四谷書房さんの四谷書房日録の記事で、初めて知りました。 この本、「ワンテーマ指
こんにちは。ちょうどひと月ぶりの更新です。 今回の内容は大きくふたつ。いずれも以前このブログで取り上げたフェアのその後の展開についてです。 好評のうちに幕を閉じました「紀伊國屋カルチャー・トリップ-今読みたいSF100」の結果発表と、紀行文フェア第二弾「と!RAVEL Book Fair -異界探訪編-」の紹介をさせていただきます。 「紀伊國屋カルチャー・トリップ-今読みたいSF100」 さてこちらのSFフェア、当初は10月中頃までの開催予定だったところ会期を延長しての開催となりまして、つい先日10月いっぱいをもって終了いたしました。これまでのテーマを上回る人気に話題性もあったらしく、これもひとえに皆様のおかげです。たくさんのご来場ありがとうございました。 そして只今手元にあるのが、 このフェアの売り上げを記した極秘資料です。 既に紀伊國屋新宿本店公式twitterアカウントにて、売り上げ
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