【担当者向け2024年版】年末調整に必要な書類は?提出先や保管期限など分かりやすく解説
年末調整で必要となる書類は、従業員に提出してもらう書類、税務署に提出する書類、市区町村に提出する書類などさまざまです。税制改正が多くある部分でもあるため、担当者はしっかりと理解しておく必要があります。
そこでこのページでは、年末調整において必要な書類や提出先、提出期限についてわかりやすく解説します。
2024年の年末調整では、年末調整時点の定額減税額に基づき精算を⾏う「年調減税事務」が必要となります。
国税庁|給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた目次
年末調整に必要な書類
年末調整では下記の書類の作成が必要になります。
- 源泉徴収票
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 給与支払報告書
- 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)
これらを作成するために、それぞれの従業員の状況に応じて書類を用意し、必要箇所を従業員自身に記載してもらう必要があります。
従業員に配布し、記入・提出してもらうもの
以下の書類は従業員に配布、記入してもらった後、提出してもらいます。
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼給与所得者の配偶者控除等申告書 兼所得金額調整控除申告書
※令和6年分の申告書は、「年末調整に係る定額減税のための申告書」との兼用様式となっています。 - 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
この申告書は、本人の当年度の合計所得金額の見積額が2,500万円以下の場合に提出します。したがって、ほとんどの人が提出することになるかと思われます。
※令和6年分の申告書は、「年末調整に係る定額減税のための申告書」との兼用様式となっています。
また、「給与所得者の基礎控除申告書」および「給与所得者の配偶者控除等申告書」に「定額減税対象」の欄が追加されています。本人の所得金額が1805万円以下の場合は「本人定額減税対象」欄に「✓」、本人の所得金額が1805万円以下で、かつ配偶者の所得金額が48万円以下の場合は「配偶者定額減税対象」欄に「✓」を記載します。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
この申告書は、毎年12月31日時点で、従業員が扶養している人数を申告するものです。
複数箇所から給与所得を得ている従業員の場合は、主たる就業先にのみに提出します。
翌年1月からの給与の源泉徴収税額を決定するにあたり、扶養控除に関する情報を会社に申告するために必要な書類です。翌年度からの給与計算にまつわる情報ですので、当年度の年末調整には直接関係ありません。
当年度において必要となる扶養控除の情報は、前年度の年末に提出した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」であり、当年度においては、変更がなかったかを確認するための参考程度の情報といえるでしょう。
また、扶養控除のほか、「寡婦・寡夫控除」「勤労学生控除」「障害者控除」といった所得控除を受ける場合にも、この申告書へ必要事項を記載してもらう必要があります。
※令和7年分から、前年にその勤務先へ提出した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項から異動がない場合は、 「簡易な申告書」を利用することができるようになりました。
ただし、次の事項に1つでも該当する場合は、簡易な申告書を提出することができません。
- 従業員や源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族などの住所又は居所が異動した
- 従業員や控除対象扶養親族などの氏名に変更があった
- 従業員や源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族などのマイナンバー(個人番号)に変更があった
- 源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族、16歳未満の扶養親族に新たに該当することとなる(又は該当しなくなる)人がいる
- 従業員が寡婦、ひとり親、勤労学生に該当することとなる(又は該当しなくなる)
- 従業員や同一生計配偶者、扶養親族が(特別)障害者に該当することとなる(又は該当しなくなる)
- 源泉控除対象配偶者の所得の見積額が95万円超
- 控除対象扶養親族や年少扶養親族の所得の見積額が48万円超
- 控除対象扶養親族の年齢の変動により控除の区分が変わる
- 控除対象となる国外居住親族について、扶養控除の適用要件の区分が変わる
- 年少扶養親族が16歳になり控除対象扶養親族に該当することとなる
給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料や地震保険料、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などの保険料控除を受けるために必要な書類です。
控除を受けたい従業員にはこの書類を配布し、それぞれの各保険料控除証明書にもとづいて、この申告書を記入してもらいます。
また、この申告書とともに各保険料控除証明書も提出してもらう必要があります。
電子化対応で事務負担を軽減
従来、前述したような各種控除を受ける場合には、保険会社から送られてきた控除証明書を保険料控除申告書に添付する必要がありました。
しかし、2020年から、年末調整において保険料控除証明書を電子的に受けている場合には、その電子的控除証明書を使用して会社に提出(送信)することができるようになりました。これにより、事務負担が軽減されることになります。
税務署に提出するもの
従業員の年末調整にまつわる計算が終わったら、次に税務署に提出する書類を作成します。税務署に提出する書類には主に次の3つがあります。
一定の要件を満たした給与所得者の「給与所得の源泉徴収票」
「給与所得の源泉徴収票」は年末調整後、役員や従業員全員に交付する義務があります。
そして、一定の者については、税務署にも源泉徴収票の提出が必要になります。たとえば、役員のうち当年度中の報酬支払額が150万円を超える人や、年収500万円を超える従業員の「給与所得の源泉徴収票」は税務署に対しての提出が必要です。
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
会社が支払った給与や退職金、報酬・料金、不動産の使用料や不動産等の手数料などについて人員、支払金額、源泉徴収税額をそれぞれ合計して記載した書類になります。
支払調書
「源泉徴収票」は、給与を支払った人に対し会社が発行するものです。
一方、「支払調書」は、会社が外部の人に報酬や手数料など給与以外の金銭を支払った場合に、その外部の人に対して発行する、その支払金額や源泉徴収税額を記載した書類です。源泉徴収票とよく似ていますが、両者の違いは「給与かそれ以外か」です。
つまり、会社と雇用関係にあれば源泉徴収票、雇用関係がなければ支払調書となると考えていいでしょう。
年末調整作業とは直接関係はありませんが、年末調整書類と同じタイミングで税務署に提出必要があるので覚えておきましょう。
市区町村へ提出するもの
市区町村には「給与支払報告書」を提出する必要があります。書類の名称は「給与支払報告書」となっていますが、税務署に提出する「給与所得の源泉徴収票」と同じ内容となっています。
一定の要件に該当する人の分しか税務署に提出しない「給与所得の源泉徴収票」と異なり、「給与支払報告書」はすべての役員、従業員の分を提出しなければなりません。
年末調整書類の提出期限
会社は、各従業員の所得税額を確定するために、それぞれの従業員の所得控除がいくらかを把握する必要があります。それゆえ、11月下旬には上で述べた各種申告書の回収を完了させておきたいところです。
会社は従業員の年間の税額を確定し所得税を納めたら、従業員に「給与所得の源泉徴収票」を交付します。法的な期限はありませんが、12月の給与明細と一緒に渡すのが一般的です。
そして「給与支払報告書」を各従業員の住所がある市区町村に、「法定調書合計表」及び提出の対象となった従業員の「給与所得の源泉徴収票」を税務署に提出します。これらの提出期限はすべて翌年の1月31日となっています。
7年間の保管義務がある
年末調整時に従業員から提出を受けた書類は、翌年から7年間保存する必要があります。これらの書類は、税務署から提出の要求があった場合はそれに応じる必要があるため、きちんと保管しておいてください。
年末調整書類はどこでもらえる?
扶養控除申告書など、従業員に提出を求める書類の入手先は以下のパターンがあります。
- 国税庁のホームページからダウンロードする
- 税務署に直接行って入手する
- 給与計算ソフトなどクラウドサービスから入手する
年末調整がスムーズに行えるよう、早めに入手し従業員に配布することが大切です。
おわりに
年末調整は、従業員から提出を受けた書類をもとに会社が税金を計算・精算し、その結果を税務署や市区町村に書類を提出する一連の作業をいいます。
会社にとって従業員の年末調整を行うことは、ミスが許されず大きな事務負担をともないます。それゆえ、従業員にも記載方法や提出期限を周知し、それぞれの期限と期間をしっかり守って進めることが重要となります。
もっと記事を読みたい方はこちら
無料会員登録でメルマガをお届け!