本罪の客体は「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」または「拘禁中に逃走した者」である。 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者 拘留または科料にしか当たらない罪(侮辱罪(令和5年改正前)、軽犯罪法違反など)を犯した者は、本罪の客体にならない。 「罪を犯した者」の意味について学説は大きく分けて、真犯人に限るとする説(A説とする)、真犯人および犯罪の嫌疑を受けて捜査中または訴追中の者とする説(B説とする)、真犯人及び蔵匿・隠避時の態様によって真犯人であると強く疑われる者であるとする説(C説とする)がある。判例はB説を採る(最判昭和24年8月9日刑集3巻9号1440頁)。公務執行妨害罪において行為時標準説を採用しているのと整合性がある。一方、A説も有力に主張されている。その根拠は、条文の文言である。 拘禁中に逃走した者 「拘禁中に逃走した者」には他者の奪取により拘禁状態を脱した者も含まれる(広島高判昭和