同族株主の株式の評価方法「純資産価額方式」と「類似業種比準価額方式」とは?

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同族株主の株式の評価方法「純資産価額方式」と「類似業種比準価額方式」とは?

著者: 相続110番

取材協力: 橘 慶太 税理士

事業継承をするときには、自社株の評価をしなければなりません。では、どのように評価すればいいのでしょうか。東証などに上場している企業であれば簡単ですが、上場していない企業の場合、どのように評価すれば良いのでしょうか。

今回は、同族株主の株式の評価の方法について解説します。

株式の評価方式

株式の評価方法には、配当還元方式原則的評価方式の2種類に分かれます。

原則的評価方式とは?

そのうちの1つ、原価評価方式は、さらに2つに分かれます。1つが類似業種価額方式、もう1つが純資産価額方式です。

純資産価額方式とは?

純資産価額方式は、会社を解散させたらいくらお金が戻ってくるかという考え方です。

たとえば、株式会社タチバナと言う会社を、今から解散させるというケースで考えてみましょう。株主は自分、資産が1億円、銀行からの借金が7,000万円、資本金が3,000万円。このような会社だとすれば、どのくらいのお金が返ってくるのでしょうか。

この場合、まず借金を返さなくてはなりません。そこで借金の7,000万円を銀行に返すと、資産は3,000万円になります。これで借金は返し終わったので、会社に残った3,000万円は自分に返ってきます。

次に、さきほどと同じケースで、資産をすべて土地で持っている状態で会社を解散させた場合について考えてみましょう。

資産が土地のままだと借金を返すことができません。そのため、土地を売却して、キャッシュを作ります。その後の流れは一緒です。

では、1億円で買った土地を売ったら、3億円になったとします。会社を解散させるには、どのような手続きが必要でしょうか。

この場合、まずは、不動産を売却して、キャッシュを手に入れます。その後、銀行への借金7,000万円を返却します。次に、売却した差額分に法人税がかかります。1億円で買った土地を、3億円で売却すると2億円の儲けが出ます。この儲けに法人税がかかります。

  1. 不動産を売却して、キャッシュを手に入れます。
  2. 銀行に7,000万円返します。
  3. 2億円×37%で計算して、法人税を払います。

ここまでを行って、残ったお金が株主である自分に戻ってきます。この戻ってくる金額が、純資産価額方式での株式の評価額ということです。

類似業種比準価額方式とは?

次にもう1つ方式である、類似業種比準価額方式について解説します。こちらのほうが圧倒的に株価が安くなります。

たとえば、自分がラーメン屋を始めるとします。”ラーメン橘屋”をオープンさせるのです。

今から、株式会社ラーメン橘屋の株価を求めます。

世の中には、ラーメン屋さんで上場している会社があります。有名な一風堂さんは上場しています。

たとえば、一風堂が1株1万円だとします。ラーメン橘屋は、オープンから1年間、非常に頑張り、1億円の利益をあげました。

それに対し、一風堂さんが10億円の利益を出していたとします。ここまでデータが出たら、ラーメン橘屋の株価が出せます。

一風堂さんは10億円の利益を出していて、1株1万円です。サイズ感で言うと十分の一ですから、ラーメン橘屋の株価は1,000円です。

これが類似業種比準価額方式と呼ばれる方式です。上場企業と比較して、株価を求めます。

今は利益だけで説明しましたが、実際は配当、利益、純資産の3つの要素を使って計算します。

またこの際、自分の会社に似ている会社を探すのではなく、実際は、日本全国にある会社が118分類に分かれており、この業種の場合はこれです、というのが決まっています。その金額を使って計算します。

以前は計算時の配点の振り方が以下のような割合でした。

配当1:利益3:純資産1

このように、利益だけ持ち点が高く設定されていました。そのため、利益さえ減らせば、株価を下げることができる点に着目した銀行員や生命保険会社が「赤字にすればいい」と色々やってしまい、経済産業省が怒って見直されました。今は以下のようになっています。

配当1:利益1:純資産1

以前は利益を落とすことで会社の価値を圧縮していました。しかし、会社の利益さえ、たたけば税金が落ちたのは一昔前の話です。今はそれをやっても、そんなに下がりません。

おわりに

同族株主の株の評価には2種類の方法があります。そのうちの1つである、原則的評価方式には、さらに細かく分けて純資産価額方式と類似業種価額方式の2つの方式があります。

また、類似業種価額方式は純資産価額方式と比較すると、株価を圧倒的に安く評価できます。

しかし、今回の類似業種価額方式による計算は、簡易的に計算して株価を求めたため、実際の株価の計算は、より複雑になります。

事業継承による贈与をお考えの方は、相続に詳しい税理士に相談するとよいでしょう。

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