「史上最狂のバンドアニメ」と銘打たれて誕生したTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』。自ら「史上最狂」を名乗るのはいささか大胆というか、「強気」である。 しかし本編を観た視聴者にとってこのキャッチコピーはむしろ極めて妥当というか、「謙遜」であると感じられることさえあるだろう。 いかなる「舞台装置」がAve Mujicaを最狂の物語に誘ったのか。クライマックスを目前に「Ave Mujicaの世界」を振り返ろう。 怒涛のスピードで駆け抜ける衝撃展開 本編を視聴してまず感じることは、何よりもその「スピード」である。 物語冒頭時点で主人公バンド・Ave Mujicaはメジャーデビューを果たしており、武道館ライブがブッキングされており、そして第4話で解散。どういうことだろうか。 そもそもAve Mujicaは結成時点からメンバー間に軋轢を抱えていた。とくに言い争っていたのはバンド