「路線価」ってなに?土地評価の基礎知識や路線価の調べ方を解説
土地にかかる相続税や贈与税は評価額によって金額が決定されます。土地の評価には主に2つの方法があり、そのひとつが「路線価」です。
固定資産税や不動産取得税を算出する際にも使用される路線価は国税庁のホームページで確認できますが、調べ方や見方にはちょっとしたコツが必要です。そこでこのページでは、土地評価の2つの方法から路線価の記号の見方まで、わかりやすく解説します。
目次
土地評価の基礎知識
相続税や贈与税を計算する際には、まずその土地や家屋を評価することが必要です。土地の評価方式については、主に以下の2つがあります。
1.路線価方式
路線価が定められている地域では、路線価方式が用いられます。路線価については、後ほど詳細をお伝えします。
2.倍率方式
路線価が定められていない地域の土地を評価するのは倍率方式を用います。倍率方式における土地の価額については、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算されます。
なお、固定資産税評価額は都税事業所、市役所、町村役場などで確認することができます。
ちなみに、家屋については、固定資産税評価額の1.0倍として評価されます。結果的に固定資産税評価額と変わらないことになります。
路線価ってなに?
先ほど土地評価には2つの方法があるとお伝えしましたが、実際の相続では路線価方式の割合の方が多いです。そこで、その路線価について詳しく解説いたします。
そもそも路線価とは、国税庁や全国の市町村などにより、全国の道路(一部除く)に付けられた1平方メートルあたりの土地の価額のことをいいます。路線価と聞くと、その道路そのものの価格と勘違いしてしまいそうですが、実際はその道路に面した土地の相続税や贈与税の計算のために用いられます。
路線価は、国税庁のホームページで調べることができます。実際に路線価図を見るとたくさんの「3500A」などの数字とアルファベットが記載されていて、なんだか難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、一度わかってしまえば簡単です。どのように見るかについては後述いたします。
なお、路線価は固定資産税の場合と、相続税・贈与税の場合によって異なります。
固定資産税の路線価
固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの算出に用いられる路線価のことを「固定資産税路線価」といいます。
固定資産税路線価は、各市町村(東京23区は東京都)が決定します。固定資産税路線価は、原則3年に一度見直されるようになっていて、1月1日の価格を基準に毎年3月31日までに算定して公表することになっています。
ただし、路線価が下落している場合は、3年待たず価格を見直すようになっており、下落修正が行われるようになっています。特に、土地の価格変動が大きい都市部は下落修正の頻度が多く、東京都では2009年から毎年下落修正されています。
なお、固定資産税路線価は、公示地価の7割ほどが目安になっています。
相続税や贈与税の路線価
相続税や贈与税の算出される路線価のことを「相続税路線価」といいます。路線価といえば、この相続税路線価を指すことが多いです。
相続税路線価は、毎年、国税局が決定します。これが固定資産税路線価との違いの一つです。また、相続税路線価は公示地価の8割が目安となっています。
路線価ってどうやって調べるの?
最新の路線価図は、前年の1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した財産にかかる相続税や贈与税を評価する場合に適用します。相続税路線価の場合は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のページから確認することができます。
まず、自分が知りたい路線価の都道府県をクリックします。次に、財産評価基準書目次というページが表示されますので、そこで一番上に出ている「路線価図」をクリックします。
次に、都道府県にある市町村や区が表示されます。
ここで、路線価の住所にあたるところをクリックします。すると、以下のように地名ごとに路線価図ページ番号が羅列されています。ここで、自分が知りたい路線価図の地名をクリックします。
そして、路線価が表示されます。
路線価図の正しい見方
路線価図を見ると、所々に数字とアルファベットがセットになったものが表示されています。これは一体なにを表すのでしょうか。
たとえば、地図に「200D」と表示されている場合は、前の数字が1平方メートルあたりの土地の価格(単位は千円)、アルファベットは借地権割合を表します。
たとえば、先ほどの200は1平方メートル当たりの金額が200,000円であることを表します。また、Dは借地権割合が60%であることを示します。ちなみに、借地権割合はA〜Gまで7段階で表現されます。
記号 | 借地権割合 |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
借地権とは
ここで、路線価図を読む上で知っておきたい借地権について簡単に説明しましょう。借地権とは、その土地に建物を建築しても良いという権利のことをいいます。
一般的には、土地には借地権と地主さんの所有権があります。一つの土地には、2つの権利が混在されているのです。そして、この2つの権利を踏まえて決められるのが、借地権割合というものになります。
借地権が設定されている土地は、底地または貸地という概念があり、これが地主さん所有の財産部分にあたります。そして、その土地に立つ建物などは借地人さんの財産となるのです。このように、借地権を理解しておくと、路線価について正しく理解できるでしょう。
おわりに
路線価は、固定資産税や相続税・贈与税を決める上で非常に重要なものになってきます。それだけに、正しく理解しておくと、いざというとき役立つことでしょう。
また、税金だけでなく、土地の売買取引の際にも路線価や公示地価が役立ちます。ただ、売買の場合は、売り手がすぐにつくかなど、その時々の状況も価格に反映されますので、路線価はあくまで参考程度に把握しておくのが良いでしょう。
実際の相続や贈与の申告の際には、税理士に依頼すると、手間なく確実に申告手続きが行なえます。土地や不動産などの税金や税務で困ったことがあれば、一度税理士に相談してみると良いでしょう。
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