夏の土用は、立秋の前の18日間を指し、一年で最も暑い大暑の節気です。その初めの日を土用の入りといいます。「丑」とは「うし」のことで十二支のひとつです。十二支は1日ごとに割り当てますので12日間に1回が「丑の日」にあたります。土用は約18日間、丑の日は12日に1回ということから土用の間に丑の日が2回ある場合があります。2024年は、7月24日と8月5日です。この日を「土用の丑の日」と呼び、鰻(うなぎ)を食べて体力を回復させる習慣があります。
うなぎの代わりに栄養豊富なエビを使うのも良いでしょう。また、この時期は暑さと湿気で消化機能が弱くなりがちです。肺もまた暑さに弱いため、特に注意が必要です。
そこで、消化を助け、肺を潤し、暑さを和らげる食材を組み合わせることで、体調を整えることができます。
このような効果を持つ食材の一つが大根です。今回は、簡単で美味しい大根もちの作り方をご紹介します。これを食べて暑い時期を元気に過ごしましょう。
大根もち(4人分)
<材料>
・大根 1本(約500グラム)
・長芋 150グラム
・豆乳 1カップ(約240ミリリットル)
・もち粉 1カップ(約150グラム)
・エビ 100グラム
・青ねぎ 2~3本(みじん切り)
・しょうが 1かけ(約10グラム、みじん切り)
・オリーブオイル 適量
・塩 小さじ1(約5グラム)
・コショウ 小さじ1/2(約2グラム)
・だし汁 適量
<作り方>
食材の準備
1.大根は皮をできるだけ残し、薄くむいて細切りにします。
2.長芋は皮をむいて細切りにします。
3.青ねぎとしょうがはみじん切りにします。
4.エビは細かく刻みます。
炒める
1.鍋を熱し、オリーブオイルを入れてしょうがを炒めます。
2.大根と長芋を加え、塩とコショウで味付けしながら炒め、柔らかくなったら取り出して冷まします。
生地を混ぜる
1.大きなボウルにもち粉を入れ、豆乳を加えて均一になるまで混ぜます。
2.冷ました大根と長芋を加え、エビ、青ねぎ、出汁も加えてよく混ぜます。
焼く
1.フライパンを熱し、少量の油を入れます。
2.混ぜた生地をフライパンに入れ、厚さ1センチ程度に広げます。弱火で両面が黄金色になるまで焼きます。フライパンが小さい場合は、数回に分けて焼きます。
3.焼き上がった大根餅を切り分け、皿に盛り付けて完成です。
この大根もちは食感が柔らかくて消化が良く、お年寄りや子供でも食べられます。
中医学的な解説
エビ エビは体を元気にし、消化を助ける効果があります。豊富で良質なタンパク質が体を滋養し、疲れを取り気力を回復させます。特に、夏の疲れた体には最適です。
大根 大根は体を冷やし、暑さを和らげ、肺を潤す効果があります。消化を助け、食欲不振や便秘にも効果があります。暑い季節にぴったりの食材です。
長芋 長芋は体のバランスを整え、消化を助け、体力を回復させる効果があります。特に肺と腎を強化し、疲れを取り除きます。日常の疲労回復にも効果的です。
豆乳 豆乳は体に滋養を与え、気力を回復させる効果があります。消化を助け、肺を潤す効果もあります。乳製品の代わりとして、消化に優しい選択です。
もち米 もち米は消化を助け、体を温め、元気を回復させる効果があります。特に夏の冷えからくる体調不良を改善します。赤飯などでもおなじみの食材です。
長ネギと生姜 青ねぎとしょうがは体を温め、消化を助ける効果があります。冷えや湿気を取り除き、エアコンによる軽い風邪の症状を和らげます。薬味としてもよく使われる食材です。
こしょう コショウは消化を助け、胃を温め、食欲を増進させる効果があります。脂肪燃焼効果もあり、体のバランスを整えます。
このような組み合わせにより、この大根もちは体内の熱を冷まし、肺、脾、腎を強化する効果があります。気力を回復させ、暑さによる体の疲れを取り除くのに役立ちます。この食療法はシンプルで実用的であり、特に夏の体調管理に最適でしょう。
「土用」について
夏の土用は、立秋の前の18日間を指し、この期間は通常、最も暑い時期で、体が疲れやすく、食欲が減りやすいことから「夏バテ」しやすいのです。
そのため、この時期には体力をつけて健康を保つためにうなぎを食べる伝統があります。この習慣は、古代中国の五行(木、火、土、金、水)の考え方に由来しています。中医学では、各季節の最後の18日間は「土の気」が強まる時期とされており、自然界で土の力が強くなります。日本では主に夏の終わりから立秋の間の暑い時期を指します。
中医学では一年を五行に基づいて五つの季節に分けます。春、夏、長夏、秋、冬で、それぞれ木、火、土、金、水に対応します。長夏(土の気)は特に暑い時期を調整するための時期で、この時期の土の気は他の季節の最後の18日間の土の気とは異なり、火と土は互いに影響し合い、火が土を強め、土の気が非常に強くなります。過度に強まった土の気は湿気を生じ、湿った土の気に変わります。人体の胃腸は湿気に弱く、冷たいものを好むと寒さと暑さが交錯して、消化不良や食欲不振を引き起こしてしまいます。
さらに、暑さで火の気が肺(金)に影響を与え、肺が弱くなります。この季節には消化系と肺が非常に弱くなり、体力を補わなければなりません。こうしてうなぎを食べる習慣が生まれました。
「土用の日」にうなぎを食べる習慣は、江戸時代に始まり、当時、あるうなぎ屋の主人が売上を増やすために学者に相談したところ、「土用の丑の日」にうなぎを食べることを宣伝するように勧められました。これがこの伝統の始まりです。
この食文化は、中医学の養生の理論を受け継いでいます。この理論を理解することで、食材を適切に利用して自身の健康を保ち、暑い夏を乗りきり、健康な呼吸と消化器官を養って乾燥した秋の到来に備えましょう。
(翻訳編集 華山律)
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