朝食は一日のエネルギー源となる大切な食事です。研究によると、朝食を抜くと心血管疾患のリスクが高まる可能性があるとされています。しかし、朝昼兼用のブランチを好む人や、朝食を抜く断食法を取り入れている人も多くいます。
そこで、台湾の「明悦中医診所」の朱益智(しゅ えきち)医師が、健康的に脂肪を減らす朝食の7つのポイントを提案しています。
朱医師によると、消化器官は栄養を吸収するだけでなく、それを肝臓に運んで代謝させ、血液を通じて全身に届ける役割を担っています。しかし、朝食を摂らないと血液中の栄養が不足し、体のさまざまな機能のバランスが崩れる可能性があります。これが長期間続くと、心血管の健康にも悪影響を及ぼすおそれがあるのです。
朱医師は、健康を維持しながら無理なく体重をコントロールするためには、朝食をしっかり摂ることが大切だと述べています。以下に、脂肪を減らす朝食の7つのポイントをご紹介します。
朝食の原則①:冷たいものを避ける
朝食では冷たい食べ物を控えることが大切です。特に空腹時に摂ると、胃腸に負担をかけ、体調を崩しやすくなります。
朱益智医師は、胃腸機能を保護し、健康を維持するために、朝食、特に空腹時に冷たい食べ物は避けてくださいと述べます。冷たい食べ物は寒さによって胃腸の粘膜を縮め、毛細血管を収縮させ、それが交感神経を刺激し、体は体温を取り戻そうとエネルギーを消費します。そのため、冷たい食べ物が体内に入ると、飲めば飲むほど体が熱く感じるだけでなく、胃や腸、血管の正常な機能にも影響を与えます。
また、冷たい食べ物は飲み物だけではありません。ヨーグルトや生野菜、サラダなど、一見健康的に見える食品も体を冷やすため、注意が必要です。
朝食の原則②:適度な炭水化物を摂る
ダイエットをしている人の中には、炭水化物を避ける傾向がありますが、朱医師は「適度に摂ることが大切」と指摘しています。ただし、精製されたパンのような加工食品ではなく、できるだけ自然な形の食材を選ぶことが重要です。中国の古典医学書『黄帝内経』には「五穀は健康の基本」と記されており、穀物類は体の調子を整える大切な食材とされています。炭水化物は胃腸にとって消化・吸収しやすく、消化器官を活性化させるとともに、外部から侵入する病原体を防ぐ防御機能を高める働きもあります。
これにより、肺の機能が向上し、体全体の調子が整いやすくなります。
最適な炭水化物として、朱医師は白米やお粥をすすめています。特に、とろみのあるお粥は消化・吸収に優れていますが、血糖値が急上昇しやすい点には注意が必要です。ただし、炭水化物は1グラムあたり4キロカロリーと、脂肪(1グラムあたり9キロカロリー)に比べて低カロリーです。血糖値が気になる人は、野菜などの食物繊維を一緒に摂ることで、血糖値の急上昇を抑えることができます。
また、ライスミルクもでんぷん質の食品で、通常はピーナッツやゴマが加えられます。ピーナッツは完全なアミノ酸を補給することができます。中国のおにぎりは主にもち米で作られていますが、もち米は消化しにくいため、ダイエット食品として食べる人もいます。しかし、実際の効果は良くありません。もち米は脾臓や胃が弱い人には適していません。
朝食の原則③:脂肪を減らして自然食品を多く摂る
肉類を食べる際は、揚げ物を避けることが大切です。揚げた肉は脂肪分が多く、頻繁に食べると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。朱医師は、シンプルであっさりとした調理法の肉を取り入れることを勧めています。例えば、蒸したり、少量の油で調理した赤身肉を選び、食物繊維が豊富な野菜や全粒穀物と組み合わせると、腸の働きを促し、栄養バランスを整えるのに役立ちます。
朝食の原則④:タンパク質は適量に
朝食でタンパク質だけを摂るのは、胃腸が弱い人には向いていません。タンパク質は消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけるため、特に朝の消化器官には負担が大きくなります。朝食にタンパク質だけを摂ると、胃腸が過剰に働くことになり、消化不良や胃の不快感を引き起こす可能性があります。
朝食の原則⑤:食事の満足感を意識する
朱医師は、外食が多い人に対して、さまざまな店の朝食メニューを試してみることを勧めています。店ごとに提供される料理の栄養バランスやエネルギー量が異なるためです。ある店の朝食はエネルギー密度が高く、食後に活力を感じられるのに対し、別の店の朝食はエネルギーが不足し、満足感が得られないこともあります。いろいろな店の朝食を試してみることで、自分の体に合った食事を提供してくれるお店を見つけることができるので、外食が多い人は意識して選択肢を広げてみるのもよいでしょう。
朝食の原則⑥:朝昼兼用も選択肢に
朝起きたら必ず朝食を食べるべきでしょうか?中医学の「経絡(けいらく)」の観点から見ると、朝7時~11時は「胃経」と「脾経」が活発な時間とされています。この時間帯は、体のエネルギーが胃に集中しているため、朝食をとることで消化吸収の効率が上がると考えられています。一方で、胃腸が活発な時間を過ぎてから食事をすると、本来ほかの臓器に向かうはずのエネルギーが消化に使われてしまいます。例えば、夜9時以降に食事をとると、消化が終わるのが深夜11時〜12時ごろになり、肝の働きに影響を与え、睡眠の質や自律神経のバランスを乱す可能性があります。
中医学では、体には「経絡」と呼ばれるエネルギーの通り道があり、これが気や血を全身に運ぶと考えられています。経絡は12本あり、それぞれが特定の臓器と関係しており、1日24時間のうち、特定の時間帯に特定の経絡が活発になります。
では、朝食をとらずに朝昼兼用(ブランチ)にするのは健康に悪いのでしょうか?朱医師によると、朝遅く起きる人が朝食と昼食を兼ねることは、必ずしも体に悪いわけではありません。この時間帯は「心経」が最も活発になる時間とされ、中医学では「心火(しんか)」が体のエネルギーの中心と考えられています。心火が十分にあると消化機能も向上するため、適切なタイミングであれば早昼兼用の食事も問題ないとされています。
朝食の原則⑦:バランスの取れた食事を心がける
外食中心の生活では、甘すぎる飲み物、生野菜や冷たい食べ物、揚げ物、精製された炭水化物などの誘惑が多くなりがちです。これらはエネルギーの摂りすぎにつながるだけでなく、胃腸に負担をかける可能性があります。朱医師は、食事の多様性が健康維持の鍵であると強調しています。外食時にこれらの誘惑を避けるには、自分の食事選びを意識することが大切です。脂肪の摂取を抑えながら、健康的な朝食を選ぶことで、無理なく体重を管理しながら健康を維持することができます。
(翻訳編集 華山律)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。