共和党の政策綱領では、全ての輸入品に対して一律の関税を課すベースライン関税や、米国へ輸出する国が課している関税率と同じ関税率を米国輸入時にも適用する「トランプ互恵通商法」が提案されている。そのほか、トランプ氏は、中国に対する追加関税率の60%への引き上げや、メキシコに対する自動車の関税率の大幅な引き上げなどにもたびたび言及している。関税は本来、国内の産業保護を目的に利用されるが、トランプ氏は2024年12月6日に行われた米国メディア大手NBCのインタビューで、「関税には多くの目的がある」「(関税は)経済以外の分野でも非常に強力な手段となる」と述べたように(注1)、関税を幅広い外交問題を解決する手段の1つとして捉えている。通商とは直接的には関係のない不法移民やフェンタニルなどの麻薬の流入阻止のために、関税を用いて他国に是正を求めたことが(注2)、その象徴的な例だといえよう。 トランプ氏が掲げ