テスラ、人員不足で車所有者に納車サポートの無償ボランティア依頼?誤解も
世界のEV(電気自動車)市場のリーダーであるテスラが、テスラ車の保有者でつくられる「テスラ・オーナーズ・クラブ・ジャパン(TOCJ)」のメンバーに向けて、テスラジャパンのスタッフの数が十分ではないために納車サポートのボランティアを募集しているとして、一部SNS上で疑問の声も含めて話題を呼んでいる。TOCJメンバーに向けた「テスラ納車サポートボランティア募集のお知らせ」と題する案内文には「有明ガーデンでの納車が急増しており、人手不足によりスムーズな対応が難しい状況です」「テスラジャパンではスタッフの増員に努めていますが、まだ十分な対応ができる状況には至っておらず、オーナーズクラブの皆さまに助けていただけないか、という打診がありました」と書かれている。これについて、さまざまな反応が寄せられているが、実際にテスラジャパンはTOCJのメンバーに納車サポートの依頼を行っているのか。テスラジャパンはBusiness Journalの取材に対し、
「事実です。ボランティアという形でテスラオーナーズクラブジャパン様へ依頼致しました。なお、テスラでは納車台数の増加タイミングでは社員総出で納車作業を行っており、アメリカ本社でもElon Muskや、チーフデザイナーのFranzなどもサポートすることがあります」
との回答を寄せた。あるディーラー関係者は「ボランティアなので自由意志で参加する人ばかりであり、純粋にファン同士のコミュニケーションを楽しんでいるのでしょう」という。
テスラの2024年の世界販売台数は178万9226台で、EV市場では2位の中国・比亜迪(BYD)を抑えて首位。米国のトランプ政権に協力する同社CEO、イーロン・マスク氏の言動は連日にわたり世界中を賑わせている。
TOCJは日本唯一のテスラ公認オーナーズクラブ。2018年にテスラより公式オーナーズクラブとして承認され、22年には社団法人として法人格を取得。入会費は無料で、公式サイト上ではその目的について「オーナー様同士の交流や情報交換により困った事や不明な点を共有しています。これにより快適なテスラライフを送っていただくための存在を目指しています」と記されている。会員専用のさまざまな特典が用意されている。
「ご不明点をオーナー目線で回答いただく」
そんなTOCJにテスラジャパンが前述のような依頼をしているとして、一部で話題を呼んでいる。同社が納車のサポートをテスラ車の所有者に無償で依頼している理由は何か。同社は次のように説明する。
「基本的な手続き業務や回送は弊社社員が行います。オーナーズクラブ様には、車両を受け取られた新オーナー様が操作方法などのご不明点をオーナー目線で回答いただくことで、より実体験に忠実でわかりやすい説明をいただくことを想定しております」
テスラ車の所有者が新規購入者の納車のサポートを行っている際に事故やケガなどが生じた場合、その補償等はどのように行われるのか。
「車両の移動などの実務ではございません。車両操作や注意点などを必要に応じてご対応いただきます。なお、それでも立ち話中に車両を傷つけてしまった。などの対応は弊社が責任をもって対処させていただく予定です」
ディーラー関係者はいう。
「『納車サポート』という言葉から、ボランティアで参加したオーナーが実際に納車する車両を運転して動かすというイメージが広まってしまったのかもしれません。口頭でいろいろと操作方法についてアドバイスするレベルであれば、特に問題はないのではないか。また、強制されて参加するわけではないので、参加する方々はオーナー同士の交流を楽しむことを目的としていると思われ、健全なレクリエーションといえるでしょう」
(文=Business Journal編集部)