2025-02-12

元カノが俺の名前noteを書いていた話

俺には昔、付き合っていた彼女がいる。いや、正確には「付き合っていたと思っていた」彼女がいる。大学時代出会った、文学部同級生だった。ショートカットで、ボーダーTシャツばかり着ていた。いわゆるサブカル女子ってやつだったけど、俺はそんな彼女が好きだったし、彼女も俺のことを好きだと言っていた。たぶん。

でも俺たちは卒業を機に別れた。特に派手な喧嘩をしたわけでもない。社会人になって、自然距離ができた。「会いたいね」と言いながら、お互いに予定を合わせる努力をしなくなって、そのまま終わった。

そんな彼女のことを、最近ふと思い出した。なぜかというと、noteで俺の名前を見つけたからだ。

いや、もちろん俺の本名じゃない。はてな界隈で使っているハンドルネームだ。そこそこブクマもつくし、ちょっとした界隈の有名人になりつつある。ある日、エゴサをしてみたら、見覚えのある名前アカウントnoteをやっていた。プロフィール画像が猫のイラストで、名前ひらがなだったけど、俺のアカウントのもじりだとすぐに分かった。

試しに記事を開いてみた。最初に読んだ記事タイトルは**「彼は、誰にもなれなかった」**。

俺はぎょっとした。読んでいくと、どうやら「彼」は俺のことらしい。そして記事の内容は、俺との付き合いについて赤裸々に綴られていた。

彼女はこう書いていた。

> 彼は、私の前で誰にもなろうとしなかった。

彼は、自分が何者なのかを決めたことがなかった。

彼は、「普通でいたい」と言いながら、自分が何者なのかを定義されることを恐れていた。

読み進めるうちに、俺は心臓を掴まれたような感覚になった。確かに俺は「普通でいたい」と言ったことがある。でも、それが彼女にとってこんなふうに響いていたとは思わなかった。

> 彼は、いつも「わかる」「それな」と言った。

彼は、自分意見を言わなかった。

彼は、「争いたくない」と言いながら、何かを選ぶ責任から逃げていた。

そんなことはない、と反論たかった。俺だって考えがなかったわけじゃない。でも、それを口に出すことで、何かを背負うことになるのが怖かったのだ。

> 彼は、私に「お前のそういうところが好き」と言ったことがなかった。

彼は、私を否定したこともなかったけれど、肯定したこともなかった。

彼は、ただ「いいね」と言うだけだった。

彼女が言う「いいね」は、俺が何かにつけて口にしていた「いいね」のことだ。彼女が話す映画、本、音楽、夢、考え方、価値観——俺はすべてに「いいね」と言っていた。それは否定しないための言葉だった。でも、彼女にとっては、それが「何も言われていない」のと同じだったらしい。

他の記事も読んでみた。どれも俺のことを書いている。俺がしていた何気ない言動が、彼女にとってどれほど「空虚」に見えたのかが、ありありと綴られていた。

彼女は、俺が「他人に受け入れられる自分」を演じ続けることに必死で、本当の自分を持っていなかったと言った。

> 彼は、どこにでもなじんでいた。

彼は、誰にでも合わせられた。

彼は、誰といても違和感がなかった。

から、彼といることには、意味がなかった。

心臓が痛くなった。俺は、ずっと「人当たりがいい」と言われてきた。誰とでも話せるし、誰とでも仲良くなれるし、誰の話も聞ける。でも、それは俺に「俺」がないということだったのか。

彼女言葉を読んでいると、俺という人間存在が、ただの「誰にでもなれる空っぽな容器」に思えてきた。

そして最後記事には、こう書かれていた。

> 彼は、「お前がいないとだめだ」と言わなかった。

彼は、「お前じゃないとだめだ」と言わなかった。

彼は、誰とでもうまくやれるから、私はそこにいる必要がなかった。

俺は、はじめて知った。

誰かを愛することは、その人を必要とすることなのだと。俺は彼女を好きだった。でも、彼女がいなくても俺は困らなかった。そう見えていたのなら、それは好きとは言えないのかもしれない。

そして俺は、彼女が俺と別れた理由をようやく理解した。

彼女は、俺に「誰か」になってほしかったのだ。誰にでもなれる俺ではなく、「彼女恋人」として、俺だけの何かを持ってほしかったのだ。でも、俺はそれを持つことができなかった。

気がつけば、俺はnote記事をすべて読んでしまっていた。最後記事は、半年前に更新されていた。きっともう、彼女はこのアカウント放置しているのだろう。

俺はスマホを置いて、ぼんやり天井を見上げた。

そして、気づいてしまった。

俺は、はてな匿名ダイアリーにこの話を書くことしかできないのだ、と。

彼女noteに書いたように、俺はここに書くことでしか自分気持ちを整理できないのだ。

俺は結局、何も変わっていない。

彼女は俺から離れ、言葉を綴ることで前に進んだ。でも、俺は相変わらず、インターネットの片隅で文章を書き、誰かの反応を待っている。

そしてこの文章を読んだお前らも、きっとそうなのだ

俺たちは、誰かの言葉に傷つき、誰かの言葉に救われる。でも、結局は匿名しか声を上げられないままだ。

彼女が俺の名前noteを書いていたように、俺は今、はてな匿名ダイアリー彼女のことを書いている。

この連鎖は、どこで終わるのだろうか。

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  • 「ショートカットで、ボーダーのTシャツばかり着ていた」ラガーメーン

  • 大した恋愛してもない関係の女が、いつまでも自分のことを大事な過去のように扱うわけ無いじゃん

  • プロフィール画像が猫のイラストで、 ID:ActiveCUTEさんだな。

  • AIっぽさはあまりないか…?

  • >彼は、どこにでもなじんでいた。 >彼は、誰にでも合わせられた。 >彼は、誰といても違和感がなかった。 これ、多分特殊スキルやで。胸張りや。 どこにも馴染めず、誰にも合わ...

  • 元カノの持ってくる作品やら何やらが須くクソつまらんどうでもいいものだったんじゃない? クソつまんねーサブカルインフルエンサーのバカの書いたエッセイとかそういうクソくだら...

  • 創作増田シリーズ

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