がん治療「光免疫療法」のフロンティア――再発、副作用に光明「第5の治療法」|篠﨑剛・国立がん研究センター東病院頭頸部外科医長(1)
長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、光免疫療法とは何か、またそのメリットについて、国立がん研究センター東病院頭頸部外科医長の篠﨑剛氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
がん治療の課題はまだ山積み
──現在のがん治療の課題について教えてください。
「がん治療はこの数十年で飛躍的に発展しました。しかし、すべての患者が完全に治る病になったかというと、決してそうではありません。日本人の死因の第1位が、がんである、ということからもその治療法の確立は発展途上であると言えるでしょう」
「治療により一時的に容体が改善する患者も多くいます。その一方で、再発する方も少なくありません。一度目のがん発現時と比較して、再発時には治療選択肢が少なくなりがちです。再発を繰り返した結果、死に至る患者もいます」
「再発時の治療がしっかりできない場合がある点は、改善していかなければなりません」
「第二に、がんが完治したとしても治療による副作用が、患者の生活の質、いわゆるQOL(Quality of Life)を劇的に悪化させる場合もあります」
「最後に、経済的な課題です。日本は国民皆保険制度ですので、保険診療で補われるがん治療も多くあります」
「ただ、高額療養費制度を用いても患者負担がゼロになることは滅多にありません。がんという病に対する不安と治療により削られる体力、経済的な負担など、患者側が背負うものは決して軽くはありません」
「また、がんの罹患数は1985年以降、増加の一途を辿っており1、地方財政や国庫への負担も大きいことが窺えます」
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