プーチン流「力の信仰」どう抑えるか ウクライナ侵攻後の欧州外交
遠藤乾さん|国際政治学者
ウクライナ侵攻後、ロシアへの包囲網をめぐる欧米の結束が焦点になったフランス大統領選で4月、中道で現職のエマニュエル・マクロン氏(44)が再選を果たしました。右翼「国民連合」下院議員のマリーヌ・ルペン氏(53)を退けたマクロン氏は、対ロ外交でも欧州連合(EU)の舵取り役を担ってきました。再選後、「ウクライナ侵攻後」の国際秩序に本格的に向かい合うことになります。フランスと欧州、国際政治の今後の行方を遠藤乾・東京大学大学院法学政治学研究科教授に聞きました。
えんどう・けん
1966年生まれ。北海道大学法学部卒、同大学大学院法学研究科修士課程修了。オックスフォード大学博士課程修了。北大院法学研究科教授・同大公共政策大学院長を経て、今年4月より現職。専門は国際政治、EU、安全保障。著書に『欧州複合危機-苦悶(くもん)するEU、揺れる世界』(中公新書)のほか、『統合の終焉―EUの実像と論理』(岩波書店)など。
快勝はしたけれど…
――今回の選挙結果をどうみますか
マクロン氏が快勝した。とはいえ、5年前に比べ大幅にルペン氏に詰め寄られたのも確かだ。社会の分断は深く、与党「共和国前進」の足場は弱い。6月の総選挙で過半数をとれなかった場合に、どう組閣するか、どの政党から協力を得ようとするか、迫られることになるでしょう。
遠藤教授は、ロシアが武力で現状を変更しようとするウクライナ侵攻によって、国際社会で「力の信仰」が強まりかねないと指摘します。記事後半では、遠藤教授が欧米の対ロシア措置の見通しや、今後の国際社会のありようについて解説します。
――マクロン氏は、ウクライナ侵攻後の欧州で、どのような外交課題に直面するでしょうか
ウクライナ侵攻が欧米にもた…
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- 【視点】
国際政治の今後の行方を見通す上で、遠藤乾・東京大学大学院法学政治学研究科教授のご指摘は極めて重要だと思います。特に、《ウクライナ侵攻後は、西側についてこない国々による、壮大な領域が広がる世界です。表現が難しいですが、「多中心」のような世界で
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