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《単独インタビュー》ドジャース大谷翔平が開幕前に明かしていた“究極の打撃論”「ボールを100の力で潰しにいく」「データに対して解を知る」の真意とは?
posted2025/03/20 11:03
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Nanae Suzuki
発売中のNumber1116号に掲載の《[開幕インタビュー]大谷翔平「今が正解だと思っていません」》より内容を一部抜粋してお届けします。<全2回の前編/後編に続く>
メジャー8年目、スイングの完成度は?
――今年、メジャー8年目を迎えますが、バッティングに関して目指してきた“コンパクトにブォーン”というスイングの完成度はどんなふうに感じていますか。
「毎年、技術的に伸びてきているとは思っています。でも、今が技術的にも体力的にもゴールだという感覚はありません。もっと先があると思っています。ただ、当初思っていたよりはちょっと早い段階でこういうステップまで来ているかなという感覚はあります。時代が進むにつれて新しい技術であったり、アプローチであったりというものが必ず出てきているので、そこに対する対応はできているな、という感覚ですね」
――新しい技術というのは?
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「練習方法もそうですし、スイングの仕方もそうです。そもそも昔の日本では、今の僕のような振り方は推奨されていませんでした。昔はボールにスピンをかけて飛ばしなさいと言われて、僕もその意識でバットを振っていました。でも今はそういう軌道(のスイング)で振って飛ばそうとすると、効率が悪いし、もったいないんです」
――もったいない?
「バックスピンをかけようとするとボールの少し下を叩こうとしますよね。そうすると自分の持っている100の力をボールに伝え切れない現象が起きるんです。だから今は、ボールを100の力で潰しにいく。そのためにボールの下半分ではなく、芯を真後ろから貫く。そういう軌道でバットを振ろうと思っています」
――それは、ピッチャーが投げたボールの軌道に対してスイングも同じ軌道で入れていけばボールの真芯をバットの芯で捉えられるということですか。つまり、ボールを点でなく線で捉えるという感覚……?
「スイングの軌道がボールの軌道に合っていればボールの真後ろを叩けますし、そういう軌道をバットがきちんと通っていれば、タイミングがちょっと遅れても早くなっても、(線で捉えていれば真後ろからボールを叩いていることに変わりはないので)遅れればレフトへ、早ければライトへ、ドンピシャならセンターへ飛ぶ、というだけのことになります」
ボールを真後ろから叩く
――その軌道というのは、突き詰めるとアッパースイングになるんですか。