NumberPREMIER ExBACK NUMBER
「ピッチャーとしてはラストチャンス」大谷翔平が語った“覚悟”「170kmですか? そりゃ、投げられるなら投げてみたいですよ」《単独インタビュー》
posted2025/03/20 11:04
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Nanae Suzuki
発売中のNumber1116号に掲載の[開幕インタビュー]大谷翔平「今が正解だと思っていません」より内容を一部抜粋してお届けします。<全2回の後編/前編も公開中>
「ピッチャーとしてはラストチャンス」の覚悟
――昨年は“バッターの大谷”に専念して50-50を達成しました。今年は二刀流として“ピッチャーの大谷”が実戦に戻ることになります。右ヒジを壊さないように、でも最大出力を求めたくなる中で、今年の大谷さんはピッチャーとして、ケガと出力のバランスをどう考えていますか。
「僕の中ではこれがピッチャーとしてはラストチャンスだと……ラストチャンスくらいのつもりだと覚悟して行きますし、その分、慎重でなければならないと思っています。だからリハビリの過程においては慎重になるところはとことん慎重に、でも試合のレベルにおいては『細く長く』みたいな発想に僕はならないと思うので、そこのメリハリは持っておくつもりです」
――それはつまり「細く長く」とは考えないし、「太くて長ければいい」けど、「短くてもいいからまずは太く」という考え方をするということですか。
ADVERTISEMENT
「短くてもいいとは思いませんが、できるだけ太くすることが一番です。ただ、変化球に関しては球速が上がってくると身体への負荷は高くなります。もちろん球種によって負荷の高い低いはありますけど、変化球のスピードが出るピッチャーが先発で長いイニングを投げて、それだけの高い出力を保ちながらシーズンをフルで投げるのは難しい。ましてや10年から15年、一度も手術せずに投げられるかと言われれば、それは今の環境の中では無理だと思います。そこは『太く』と『長く』をどちらも求めるのは難しいのかなと思っています」
僕はどこまでいってもパワーピッチャー
――滑るボール対策は厳しくなるし、ピッチクロックもピッチャーにとっては疲労が増すことは間違いありません。しかもトレーニングが進化してスピードを出せるだけのフィジカルを作れるようになった反面、靭帯を鍛える方法はないに等しいというもどかしさもありますよね。