2024年の美術鑑賞記録。パリに居を移して二年。一年の展覧会を振り返る作業を行うと、運よく見れたものよりも遥かに見逃してしまったもののほうが多い事実に直面せざるを得ず、今年こそは怠惰に身を任せずにもっと美術館に足を向けようという決意を新たにした。企画展は映画やライブとちがって見逃したときの悔悟の念が大きい。なお、パリの常設展とギャラリーの類は除外。 印象に深かった企画展は、ニコラ・ド・スタール展(パリ市立近代美術館)、ブランクーシ展(ポンピドゥ・センター)、狂人の肖像展(ルーブル美術館)、カイユボット展(オルセー美術館)、ベルクグリューン展(オランジュリー美術館)。パリの主要美術館が揃い踏み。今年ははじめてヴェネツィア・ビエンナーレにも足を運んだが、2024年の美術界の動向がどうかといったことはいまだにさっぱり判りません。 ポンペイ探訪で西洋美術史の別様の可能性を垣間見たのも、ナポリやロー