小田急SCディベロップメントは16日、新宿駅南口直結のファッションビル新宿ミロードを閉館した。1984年に創業した同施設は、16〜25歳をターゲットにしたファッション、雑貨小物、レストラン100店舗以上で構成。2023年にクローズしたモザイク通りにミニFM局を開設して最先端情報を発信した時期もあり、身近で親しみやすいファッションビルとして若年層に愛された。
閉館日は雨模様だったが、最後のショッピングを楽しむ若年層や閉店を惜しむ人々でごった返した。16日の来館数は約2万9000人。1月に設置した7階の寄せ書きボードには4万以上のメッセージが寄せられた。7階踊り場の新宿ミロード40年の足跡を写真で紹介する思い出パネルのコーナーでも、写真を眺める人の姿が見られた。
閉店時間20時、小田急線新宿駅脇のエントランスで小田急SCディベロップメントの大津秀樹新宿ミロード支配人が閉館スピーチを行った。「40年間、多くの方々に来店していただき感謝の気持ちでいっぱいだ。再開発は次のステージに向かう始まり。閉館メッセージの『卒業おめでとう、わたしたち』に、その思いを込めた。再開発後の新しい新宿に期待してほしい」と述べた。駅のコンコース内ということもあり、閉館の様子を撮影しようとする多くの人の姿が見られた。
“選べる楽しさ”で幅広い若年層から支持
同施設は地上9階、上層3階はカフェ・レストランのフロアの構成。各フロアでコンセプトを設け、トレンドを反映した手頃な洋服や自分らしさを求める層に向けたファッション、小物雑貨などを展開していた。「ナチュラルビューティベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC)」「ロペピクニック(ROPE PICNIC)」「アースミュージック&エコロジー(EARTH MUSIC&ECOLOGY)」「オリエンタルトラフィック(ORIENTAL TRAFFIC)」などが営業していた。大津支配人は「原宿や渋谷とは違う親しみやすいファッションの聖地として幅広い層に支持された」とコメント。
新宿ミロードの2024年度3月期決算の売上高は前年比7.8%増の81億円の見込みだ。コロナ以前の売上高の8割程度だという。22年の小田急百貨店本館の閉店により同店からのトラフィックがなくなり、23年にモザイク通りの店舗が閉店というマイナス要因が多かったとはいえ、駅直結というアクセスの良さと幅広い層にアピールするテナントにより業績は堅調だった。大津支配人は、「カジュアルファッションが苦戦するなかで、新宿ミロードでは“選べる楽しさ”を提供できた」と話す。
新宿ミロードの閉館は、小田急電鉄、東京メトロ、東急不動産による「新宿駅西口地区開発計画」の一環で、小田急百貨店本館跡地を含めたエリアに新しい複合施設が建設される。小田急電鉄が単独で再開発を手掛ける新宿ミロードは4月以降に解体着工を予定している。