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世界的に保護主義的な流れが強まる中、ニューヨーク・ロンドンのファッション・ウイークでは、自国のルーツや社会状況に向き合い、ファッションに反映させる動きが顕著だ。
NYでは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権による保守的な価値観、特に女性の権利を抑圧するようなスタンスに対抗するような「強い装い」が台頭。ロンドンでは、EU離脱後のアイデンティティー模索の中で、「英国らしさ」に改めて光を当てている。ただ、こうした自国回帰の動きは、決して「後退」ではない。自分たちの「らしさ」を見直すことが、むしろ新しいクリエイションを生む契機となっていた。それを象徴していたブランドの1つが、米国のスポーツウエアとイタリアのテーラード技術を融合させ、見事なショーを披露した「カルバン・クライン コレクション(CALVIN KLEIN COLLECTION)」だ。アイデンティティーの再構築が、新しい価値の創出につながることを示して見せた。
ファッションは本来、見る人を巻き込み、影響を与えるもの。古びた「らしさ」を自ら壊し、時代に合わせて昇華することで、共感を生む―いま求められているのは、それをやってのける勇気と大胆さなのかもしれない。日本のブランドにも大きな示唆を与えてくれるだろう。(この特集は「WWDJAPAN」2025年3月10日号からの抜粋を含みます)