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大谷翔平は大物OBでも新人記者でも“同じ取材態度”「良いことばかり書いてあるのがいい記事とは…」“馴れ合い不要”メディアとのブレない距離感

posted2025/03/19 11:02

 
大谷翔平は大物OBでも新人記者でも“同じ取材態度”「良いことばかり書いてあるのがいい記事とは…」“馴れ合い不要”メディアとのブレない距離感<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平の番記者が日々感じる「メディアとの距離感」からは、彼の信念がにじみ出ている

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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Nanae Suzuki

 ひとりの番記者として大谷選手にした数百の取材質問の中から、WBC優勝、2024年ワールドシリーズ、記憶に残る試合、真美子夫人との結婚や愛犬デコピン、二刀流など、メジャー移籍後を中心に背番号と同じ17の質問を選び、回答や記者とのやり取りから人間・大谷翔平をあらためて見つめる。書籍『大谷翔平への17の質問ー取材現場で記者はどんな葛藤と戦いながら質問をするのかー』(アルソス)から一部転載にてご紹介します。〈全6回〉
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 大谷は「礼儀正しい男」であることに疑いはない。ただ、それには補足が必要だ。

 たとえば、日本ハム時代から大谷は先輩に食事に誘われても、2次会の酒席には付き合わないことは有名な話だ。警戒心は人一倍強いが、他人の目は気にしない。つまり、「断ること」で自分が周囲からどう思われるかとか、相手に自分がどう見えているかを気にすることは「ほぼない」という印象が当時から強かった。

「礼儀正しい男」としては意外に思われるかもしれないが、メジャー移籍後の大谷は試合前の練習と準備で多忙なため、日本ハム時代に関わった選手やコーチ、関係者を除き、メジャー取材に訪れる日本球界OBや著名人、芸能人の方々と会話をすることはほぼない。関係者によれば、報道陣から見えないベンチ裏でこっそり話しているわけでもないという。

相手によって態度を変えない

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 大谷は対峙する人によって態度を変えることもない。私のように長く取材している番記者でも、初めて現場に来た新人記者でも、ベテラン記者でも、テレビ局の著名なアナウンサーでも男女問わず、取材対応はほぼ同じ。表情を緩めることなく、質問に対する回答にブレがない。

 それを裏付けるエピソードがある。2024年のドジャースのキャンプ初日の囲み取材での一幕だ。

 大谷は同キャンプ前の2023年オフに、日本国内の全小学校に3個ずつニューバランス製のグローブを寄贈した。小学生の野球競技人口が低迷する中で「野球しようぜ!」とメッセージを発信し、「このグローブが私たちの次の世代に夢を与え、勇気づけるためのシンボルとなることを望んでいます」と談話も発表した。

 それを受けて、日本のキー局の人気女性アナウンサーがこう質問した。

アナウンサー「日本全国の小学校に続々と大谷選手が寄贈したグローブが届いています。野球の裾野を広げるという意味でも今キャンプは注目されています。子どもたちも含めて、どんなメッセージをこのキャンプの姿で伝えたいですか?」

【次ページ】 母校野球部の同級生が取材陣にいたとしても

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