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お腹の脂肪を減らすには? 中医師が教える方法

特別な運動をしなくても、食事の順番を変えただけで1か月に1キロ、1年で12キロも減量した人がいます。お腹まわりの脂肪を減らすことは、見た目だけでなく健康にも深く関わります。では、どうすればお腹の脂肪を落とせるのでしょうか? 中医師がその方法を紹介します。

内臓脂肪は、臓器を守ったりホルモンを分泌したりする役割がありますが、過剰に蓄積されると体型が崩れるだけでなく、健康にもさまざまなリスクをもたらします。内臓脂肪を減らすには、まず食生活を見直すことが大切です。ここでは、内臓脂肪を減らすための4つのポイントと、おすすめの食材を紹介します。

内臓脂肪過多の9つの危険因子 あなたはいくつ当てはまりますか?

内臓脂肪が基準を超えているかを判断する最も簡単な方法は、ウエストサイズを測ることです。台湾の衛生福利部の基準では、男性は90センチ以上、女性は80センチ以上で基準オーバーとされています。ウエストが基準を超えている場合、内臓脂肪が過剰に蓄積している可能性があります。

また、BMI(体格指数)も肥満の程度をある程度反映します。さらに、体脂肪計や水中体重測定などの機器を使って、体の密度を測定する方法もあります。

もし内臓脂肪が多すぎる場合、その原因を見つけて改善することが重要です。以下の9つが、内臓脂肪が増える主な原因とされています。

  • 食事の時間や量が不規則
  • 精製された炭水化物を摂りすぎる
  • 砂糖入りの飲料を飲みすぎる
  • アルコールを過剰に摂取する
  • 水分を十分に摂っていない
  • 睡眠時間が5時間未満
  • 長期間ストレスの多い状態にある
  • 長時間座りっぱなしで動かない
  • 運動習慣がない
市售零食餅乾、麵包多含有棕櫚油。(Shutterstock)
過剰な精製炭水化物の摂取は、腹部脂肪の蓄積を引き起こす可能性があります(Shutterstock)

 

内臓脂肪が多すぎると起こる5つのリスク

内臓脂肪が過剰に蓄積されると、慢性疾患のリスクが高まり、健康に悪影響を及ぼします。特に以下のような病気を引き起こす可能性があります。

1. 脳の病気

2023年に学術誌『老化と疾患』に発表された研究によると、1万人の成人を対象とした分析で、お腹の脂肪(内臓脂肪や皮下脂肪を含む)が多いほど、脳の組織が少ないことが分かりました。特に、思考や記憶、日常の判断に関わる脳の領域が影響を受けやすいとされています。

また、最新の研究では、中年期に内臓脂肪が多いと将来的にアルツハイマー病を発症するリスクが高まることを示しています。これは、内臓脂肪が脳の炎症を引き起こしやすいためと考えられています。

2. 喘息(ぜんそく)

内臓脂肪が増えると、喘息の発作が起こりやすくなり、症状も重くなる傾向があります。研究によると、内臓脂肪が多い人は気道が狭くなりやすく、呼吸がしにくくなることが分かっています。そのため、喘息の管理には内臓脂肪を減らすことが重要です。

3. 心血管疾患

内臓脂肪が蓄積すると、高血圧、高脂血症、高コレステロール、糖尿病などのリスクが高まり、心筋梗塞を引き起こす可能性もあります。研究では、内臓脂肪が心血管疾患の主要な危険因子の一つであることが明らかになっています。

4. 肝臓の病気

内臓脂肪が多いと脂肪肝になりやすく、放置すると肝硬変や肝がんに進行するリスクが高まります。

5. がん

内臓脂肪が過剰に蓄積されると、さまざまながんの発症リスクが高まることが分かっています。脂肪の増加によって慢性的な炎症が起こりやすくなり、さらにインスリン抵抗性が上昇することで、がんのリスクが高まると考えられています。

内臓脂肪の過剰は脂肪肝を引き起こし、肝硬変や肝臓癌などを引き起こす可能性があります (Shutterstock)

 

内臓脂肪を減らすための4つのポイント

内臓脂肪の蓄積による健康リスクを防ぐためには、生活習慣を見直すことが重要です。すでに内臓脂肪が多い人や予防したい人は、以下の4つのポイントに注目しましょう。

1. 食生活の改善 ― 10の習慣

① よく噛んでゆっくり食べる、1回の食事は最低20分かける

② 腹八分目を心がける

③ 朝・昼・晩の食事を規則正しくとる。決まった時間に食事をすることで、消化の準備が整い、新陳代謝がスムーズになる。

④ 食べる順番に気をつける(先にスープ、次に野菜と肉、最後に主食)

食事の順番を工夫するだけで、満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを防ぐことができます。まずは水やスープを飲み、その後、少量の野菜やたんぱく質を摂るとよいでしょう。これにより、満腹感が得られやすくなります。

次に、残りの野菜や肉類を食べ、最後に少量のご飯や麺類を加えます。この方法を実践しただけで、特別な運動をしなくても1か月で1キロ、1年で12キロの減量に成功した人もいます。

⑤ こまめに水を飲む

⑥ 午後4時以降は果物を食べない

⑦ 地元の旬の食材を選び、加工食品を避ける

⑧ 低GI(グリセミック・インデックス)の食品を選ぶ

血糖値が急激に上がると、インスリンが大量に分泌され、余った糖が中性脂肪としてお腹に蓄積されます。特に、精製された炭水化物(白米、パンなど)は小腹太りの原因になります。

⑨ 砂糖の摂取量を「体重の半分のグラム数」に抑える

例 体重66キロの人は、1日33グラムの糖分までが適量。糖分を多く摂る場合は、運動量を増やしましょう。

⑩ 夜食を避ける。特に夜9時以降や就寝2時間前の飲食を控える

さまざまな食材を取り入れ、「211プレート」(野菜・果物2:たんぱく質1:穀物1)を意識した食事を心がけましょう。地中海式の食事も効果的です。

 
  • 脂肪を減らすためのおすすめの食事

内臓脂肪を減らすには、食事の改善が重要です。特に以下の食品を意識して取り入れることをおすすめします。

1. 野菜・果物類  海藻類(わかめなど)、アブラナ科の野菜(キャベツなど)、グレープフルーツ、ブルーベリー

2. タンパク質  サバ、イワシ、サケなどの青魚、羊肉、豚肉、大豆製品(豆腐、納豆など)

3. 穀物類  糖分はエネルギー源として必要ですが、血糖値を急上昇させる精製された炭水化物(白米、白パンなど)は控えめにし、食物繊維が豊富な穀物を積極的に摂るようにしましょう。オートミール、大麦、玄米をとるようにしましょう。

4. 調味料  適量の調味料を活用すると、脂肪燃焼を助ける効果が期待できます。ターメリック(ウコン)、アップルサイダービネガー(リンゴ酢)がいいでしょう。

5. 良質な油 良質な脂質とコレステロールは、体の代謝を助けるだけでなく、悪玉コレステロールや中性脂肪のレベルを下げる働きがあります。最新の研究によると、コレステロールを摂取すると腸内で特定のホルモンが分泌され、それが肝臓でのコレステロール生成を抑えることが分かっています。そのため、卵黄や海鮮を適度に摂取することは健康にとって有益です。

また、良質な脂質を積極的に取り入れることも大切です。具体的には、オリーブオイル、亜麻仁油、ココナッツオイル、カメリアオイル(茶実油)、ラード、アーモンドやクルミなどのナッツ類が挙げられます。ラードは飽和脂肪酸を多く含み、酸化しにくいため高温調理に適しています。適量を摂取することで健康維持に役立ちます。

6. 飲み物 緑茶やチアシード入りのドリンクをお勧めします。

7. 間食 ダークチョコレート、クルミ、ケフィアヨーグルト(発酵乳)
 

2. 適度な運動で脂肪を減らし筋肉をつける

日常の運動では、有酸素運動と筋力トレーニングをバランスよく取り入れるのがおすすめです。成人は、週に150分以上の中程度の有酸素運動(登山、水泳、ランニング、自転車など)を行い、スクワットやバーベルを使ったトレーニングで筋力を鍛えるとよいでしょう。若い人は、タバタ式トレーニング(高強度インターバルトレーニング)を試すのも効果的ですが、無理をせず、自分の体調に合わせて行い、ケガを防ぐことが大切です。

3. ストレスを上手に解消する

強いストレスは、体の疲労や代謝の低下を引き起こします。さらに、ストレス解消のために暴飲暴食に走ってしまうこともあります。そこで、自分に合った方法でストレスを発散することが重要です。ヨガ、瞑想、マッサージなどを取り入れ、リラックスできる時間を確保しましょう。

4. 十分な睡眠をとる

毎晩6.5〜8時間の睡眠を確保することで、体の回復を促し、新陳代謝を正常に保つことができます。研究によると、睡眠不足の人は過剰にカロリーを摂取しやすく、内臓脂肪が増えやすいことが分かっています。質の良い睡眠を心がけましょう。

 

5つの体質と食事療法

これまで紹介したように、不規則な食生活や長時間の座りっぱなしなどは、肥満の外的な要因です。しかし、中医学では、肥満は「湿(余分な水分)」「痰(老廃物)」「虚(エネルギー不足)」が関係しており、その根本原因は陰陽のバランスの乱れだと考えられています。肝・脾・腎・心・肺・三焦(体内の水分代謝をつかさどる器官)の働きを整えることで、健康的に減量できるとされています。また、中医学の食事療法は、余分な脂肪を減らすだけでなく、体を補い、健康を維持する効果もあります。

ただし、肥満のタイプによって適した食事療法が異なるため、それぞれの体質に合った方法を選ぶことが大切です。

一、脾虚湿阻タイプ (脾の機能が低下し湿気が溜まるタイプ)
食欲があまりなく、便がゆるく、むくみやすい人には、白扁豆、エンドウ豆、小豆、緑豆、冬瓜、白菜、コイがおすすめ。

二、脾腎両虚タイプ (脾と腎が両方とも弱いタイプ)
食欲がなく、腰がだるく、寒がりな人には、ササゲ、クコの実、赤身の羊肉、クルミが効果的。

三、胃熱湿阻タイプ (胃に熱がこもり湿気が溜まるタイプ)
食欲旺盛で、口臭や口の渇きが気になる人には、レタス、タケノコ、レンコン、ゴーヤ、スベリヒユ、ヒシの実が適している。

 

四、気滞血瘀タイプ (気の流れが滞り血の巡りが悪いタイプ)
舌の裏の静脈が浮き出ていて、唇がくすんでいる人には、シトロン、ブッシュカン(仏手)、ソバ、フェンネル、バラの花、サンザシがおすすめ。

五、腎陰虚タイプ (腎の陰が不足しているタイプ)
夜更かしが多く、イライラしやすく、口が渇くがあまり水を飲まない人には、白キクラゲ、黒豆、桑の実、ナマコ、黒ゴマがよい。

 

ただし、ここで紹介した5つの体質はあくまで一般的な分類であり、実際には複数のタイプが組み合わさっている場合がほとんどです。自分の体質を正しく知り、適切な方法で体を整えるためには、専門の中医師に相談することをおすすめします。

 

(翻訳編集 華山律)

歴史と国家安全保障の修士号を持つ退役軍人である。エポックタイムズに意見記事を執筆。
呉国斌
心医堂漢方医院院長