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毎日4時間睡眠で義母の介護。40歳妻を浮気に走らせた「真犯人」

探偵が見た家族の肖像158 後編

「日本人女性の睡眠時間が少ないことは指摘されています。それは家事、育児、介護などの負担が大きいから。“眠れない”環境であることが浮気に発展するというケースもあったのです」と語るのは、探偵の山村佳子さん。横浜のリッツ探偵事務所の代表だ。

山村さんのもとに相談にきたのは大手商社に勤務する43歳の亮二さん、結婚12年になる40歳の妻との間には、10歳の息子がいる。前編「毎日4時間睡眠で「義母の介護」妻の浮気を大手商社マンの夫が疑う理由」で詳細を伝えたように、結婚して10年以上になる一家に大きな変化が訪れたきっかけは、亮二さんの80歳になった母が転倒して骨折し、亮二さんの家で同居を始めたことでした。

亮二さんは一手に介護を引き受ける妻の浮気を疑っているのですが、どうもすっきりしません……。

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「200万を肩代わりしたから」母の介護を丸投げ

依頼を受けながらも、今回の相談は少し不安になりました。

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12年前に結婚した亮二さんと妻の夫婦は、1年前に亮二さんの母(80歳)が転倒して骨折し、右足の自由が効かなくなったことで、東京の自宅に呼び寄せて同居することを決めました。妻が亮二さんの母の引き取りを承諾したのは、亮二さん曰く「妻の父がギャンブルで作った借金200万円を、亮二さんが肩代わりしたから」とのこと。さらに、最近は給湯器の修理代30万円も亮二さんが払っています。

妻もしばらくは子育てしながら働き続けていましたが、勤務していたソーラーパネルの販売会社が1年前に倒産してしまい、再就職もうまくいきませんでした。無職になったタイミングで亮二さんの母の同居話が持ち上がったのです。亮二さん曰く、「亮二さんへの借りを返す」意味合いもあり、右足が不自由になってしまった母の介護を引き受けてきたそうです。

亮二さんの母は、入浴に介助が必要です。また、昼間は時間こそかかりますが自力でトイレに行けますが、夜間は尿意に気づいてから起きるために、粗相をしてしまうことがある。そうならないために、妻は母の近くで寝ているそうです。

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妻の1日の生活を聞くと、朝5時に起き、私立小学校に通う息子の弁当を作り、朝風呂派の亮二さんのために風呂を沸かし、家族に朝ごはんを食べさせて、6時半に息子を駅まで送り、7時に亮二さんを送り出す。その後、家事をしたり、亮二さんの母の世話をしたりしているうちに、息子が帰ってきて習い事や塾のサポートをする。夕飯を作り、息子のお風呂や宿題の面倒を見て、0時過ぎることもある亮二さんの帰宅を迎える。その後に洗濯をして1日が終わるそうです。ほぼ毎日4時間睡眠です。

そんな妻がここ最近、平日の8時から15時まで家を空けていると、亮二さんの母からの報告を受けます。妻にそのことを聞くと「家にいるよ」と言われてしまう。妻のスマホを見ると、特定の番号と頻繁に電話をしている形跡がある。亮二さんは「離婚を考えていませんが、真実を知りたい」とおっしゃるので、調査に入りました。

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