「春にかかりやすい体調不良」の筆頭は花粉症だろう。
デジタルメディア「ウェザーニュース」が2024年1月に行った10506人アンケート調査では、2人に1人が花粉症だという。
認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父と暮らすにしおかすみこさんも、花粉症に苦しむ一人である。
2020年のコロナ禍、久々に実家に帰った時にその「変化」を目の当たりにしたにしおかさん。ゴミ屋敷のようになっていたこと以上に驚いたのは母親のことだった。元看護師で家の大黒柱である母が軽度の認知症を発症していたのだ。
それから同居を始めてからのことを赤裸々に綴る連載「ポンコツ一家」は、2021年9月から1年前のことを伝える形でスタートした。2023年1月には書籍『ポンコツ一家』、2024年9月には『ポンコツ一家2年目』が刊行となっており、多くの共感の声が寄せられている。
2024年3月のことをお伝えする今回は、にしおかさんが花粉症だけではなく「三種盛り」に苦しんでいるというが……。
地味に…
2024年2月某日。
私は今、地味に花粉症とギックリ腰と膀胱炎だ。「そんないっぺんにこなくても良くない?」と思わず独り言が大きくなる。仕事に支障が出るほどではない。それぞれ市販の飲み薬や湿布剤で様子を見る。
2日経ち、腰の具合がマシになってきた。少しホッとしたらクシャミが出た。またギクっとなり、振り出しに戻る。いやどちらかというと悪化したか。トイレに行くのもままならない。
母がそんな私を見て、こう言う。
「ギックリ腰や膀胱炎はクセになるからキッチリ治さないと。病院行きなさい。自分の体を大事にしなさいって、ママ毎年言ってるよ。あんたの、そのノソノソした姿を見ると、ああ今年もそんな時期かって思うよ。もうとんだ我が家の風物詩だねえ全く」
どこに季節を感じているんだ。でも確かに。毎年かどうか定かではないが、この体の不調三種盛り、初めてではない。……あれ? 母よ。そんなこと覚えているの?
こういう時、私は未だに認知症は誤診じゃないかと頭の奥の、そのまた奥のほうで思ってしまう。我ながら未練がしぶとい。
「ママの言う通りだね。今日こそ病院に行ってくるよ」と返す。
すると母が「え? 病院? 何で? あんた、どこか悪いのかい?」と心配そうに私の顔を覗き込む。……なるほど。一瞬にして、会話がいつかわからないくらい前の振り出しに戻った。こんな事は日常茶飯事だ。それなのに、いつもより私の身体がほんの少し弱っているせいで?いつもより、悲しく感じる。
この日、自分の健康を大切にするべく病院に行った。