“古い技術”を“革新的な技術”のように「装っているにすぎない」…森永卓郎さんが最期まで指摘していたエブリシングバブル「真の問題点」

今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。

「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」

彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟とは。

森永卓郎氏と、息子の康平氏がいまの日本のさまざまな病巣についてガチンコで語り合った魂の一冊『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。

『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第32回

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『故・森永卓郎さんが鋭く指摘した、崩壊待ったなしの“半導体産業”の厳しすぎる現実』より続く。

インチキな「バブル」が起こるワケ

「エブリシング・バブル」はこのようにさまざまなセクターをローテーションしながら膨張を続けてきた。だが、さすがにネタ切れになってきており、「これからこのセクターが上がる!」という話の「インチキ度」が上がってきていると感じる。

EVバブル、AIバブルの次は「宇宙バブル」かもしれない。だが、宇宙産業はまだまだ市場規模が小さいため、たとえ勝ったとしてもそう儲かりはしないことは、少し考えれば誰でもわかることだ。

要するに、エブリシング・バブルとは、「インチキのオンパレード」ということ。

そもそも、本当に画期的な新技術、新商品はバブルにはならない。

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なぜか。本当に画期的な新技術だと、新し過ぎて、最初は誰も理解できない。そのため、売れる商品、ビジネスチャンスにも思えないので、片棒を担いで「これが売れる!」と言う奴もいないし、仮に煽っても誰も乗ってこない。それくらい斬新で新し過ぎるものでなければ、大ヒット商品にはならないのだ。

むしろ、「これから上がる!」と言われているものは、まったく斬新ではなく、「古い技術や商品にお化粧をし直しただけ」であることがほとんどだ。

インターネットが実用化されたのは1960年代。携帯電話は1970年の大阪万博の時点ですでにあった。だから2000年前後の「ドットコムバブル」は、「旧来型の技術にお化粧をし直したもの」に熱狂していたことにる。

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