今年5月の大型連休をはさみ,JSRedir-Rと呼ばれるウイルス(GENOウイルス,Gumblarなどとも呼ばれる)が世界的に流行した。このウイルスによる攻撃の被害は,Webサイト管理者のパソコンに目立った。2008年秋ころ,国内では原因不明のWeb改ざん事件が頻発したが,実はこれがJSRedir-Rに関連しているのではないかと推測する。全貌が明らかにされていないのは,“感染した端末”の解析サンプルの数が少ないからだ。 その理由は幾つか考えられる。一つはウイルス本体が自身を消去してしまうことだ。もう一つ,企業のサーバー管理者が感染したケースが多かったことも理由の一つに挙げられるだろう。彼らの口から「私のパソコンが感染していました」とは言いづらく,被害が表面化しなかった例もある。 攻撃の特徴は二つ。Webページ改ざんによりウイルス感染を広げたことと,Adobe Reader(PDFファイル)