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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第97回

AI法案、柔軟規制で国会審議へ 罰則なし“ソフトロー”の狙いは

2025年03月03日 07時00分更新

文● 新清士

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リスクから考えたとき、政府の姿勢が適正なのかが論戦のポイントに

 今回、中間とりまとめについてはパブリックコメントも実施され、4557件以上の意見が寄せられたと発表されています。およそ1800人から4200件以上の具体的な意見が出たとされており、特に個人からの意見を中心に「罰則付きの法規制が必要」「学習データや訓練データの開示を義務付けるべき」「電子透かしを導入すべき」といった、強い規制を求める声が多く含まれていたとされています。

 各国の動きも睨みながら、AIのみに絞った特別の規制を設けないというのが、現在の政府の立場です。世界は、各国間でのより激しい競争状態に向かっており、イノベーションの加速化をどうやって担保するかに各国政策は向かっています。一方で、リスクから考えたときに、現状の政府の姿勢が適正なのかが、今後の国会論戦の中で、大きなポイントとなっていくと考えられます。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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