対面で会話をするとき、口臭があるとお互いに気まずくなることがあります。自分で口臭に気づいている人は、人と話すときに自信をなくしてしまいがちです。一方、多くの人は自分の口臭に気づいていません。
そこで、自分の口臭を簡単にチェックする方法をご紹介します。手で口を覆い、息を吐いてニオイを嗅いでみる。唾液を手の甲につけて少し乾かし、そのニオイを嗅いでみる。この方法で嫌なニオイを感じたら、口臭がある可能性があります。ただし、嗅覚が鈍い場合や、周りの人に「口臭がするかどうか」を聞きにくい場合は、自分では気づかないこともあります。
口臭の原因とは?
口臭の原因は、大きく分けて外的なものと体の内部に関係するものがあります。
●ニオイの強い食べ物を食べた
臭豆腐やニンニクなど、ニオイの強い食べ物を好む人は、食後に口の中にニオイが残りやすくなります。これは食べ物自体のニオイですが、本人の印象にも影響を与えてしまいます。昔、お釈迦様が弟子たちと深い山奥で修行していたとき、ネギ・ショウガ・ニンニクのような刺激の強い食べ物を禁じたと言われています。その理由は、そうした食べ物のニオイが周囲の人の瞑想を妨げる可能性があるからでした。口臭を防ぐには、食生活にも気をつけることが大切です。
●口の中や歯のトラブル
虫歯や歯茎の炎症、口内炎などが原因で口臭が発生することがあります。
特に虫歯による口臭は、治療をすれば改善することが多いです。また、最もよくあるのは歯茎の腫れによる口臭で、漢方医学ではこれを「胃火(いか)」と呼びます。漢方では、体の状態は内臓と深く関係していると考えられています。例えば、歯茎や口の中、唇の状態は胃の健康を反映しているとされます。そのため、胃火が原因の口臭なら、胃の調子を整えることで改善できることがあります。
●胃腸の不調
胃腸の調子が悪いと、ゲップとともに嫌なニオイが発生し、口臭の原因になることがあります。
●体の水分バランスが悪い/「虚火(きょか)」がある
体内の水分バランスが悪いことも、口臭につながる場合があります。例えば、腎臓の働きが低下していると、体内の老廃物が十分に排出されず、アンモニアのようなニオイが口から出ることがあります。診察の際、経験豊富な医師であれば、病気の種類によって体から発せられるニオイが異なるため、ある程度嗅覚で判断できることもあります。例えば肝臓の病気には肝臓病特有のニオイがあり、腎臓の病気には腎臓病特有のニオイがあると言われます。
また、夜更かしも口臭の原因になります。夜更かしが続くと、「肝火(かんか)」や「腎火(じんか)」と呼ばれる炎症のような状態が体内に生じ、一時的に口臭が強くなることがあります。軽度であれば、しっかり休息を取ることで改善しますが、長期間続けると「虚火(きょか)」という慢性的な炎症が起こり、簡単には治りにくくなります。
●鼻の病気
鼻に疾患がある人も口臭が発生しやすくなります。この場合、口臭の原因は口の中だけでなく、鼻の奥からも発生していることがあります。鼻の病気を治療することで、口臭が改善することが多くあります。
口臭を改善する2つの薬膳レシピ
- 麦門冬粥(ばくもんどうがゆ)
最もシンプルな口臭対策が薬膳粥の「麦門冬粥」です。麦門冬に少量の米と氷砂糖を加えて煮ることで、甘くて食べやすく、さらに体内の「虚火(きょか)」を鎮める効果があります。
麦門冬は体を潤し、腎臓や肺の余分な熱(腎火・肺火)を取り除く効果があるとされています。肺火が原因の口臭なら、肺の熱を鎮めることで改善が期待できます。
材料:麦門冬…30g、粳米(うるち米)…100g、氷砂糖…適量
作り方:
- 麦門冬を洗い、水と一緒に煮る。煮出した後、カスを取り除いて汁だけを残す。
- 粳米を洗い、鍋に入れる。麦門冬の煮汁と適量の水、氷砂糖を加える。
- 強火で沸騰させた後、弱火でコトコト煮る。お粥状になったら完成。
食べ方:1日1回、数日間続けて食べると効果が出やすい。
- 甘露飲(かんろいん)
甘露飲は、腎を潤し、胃の熱(胃火)を鎮める効果があります。胃火が原因の口臭に特におすすめです。
材料:生地黄(しょうじおう)、熟地黄(じゅくじおう)、枇杷葉(びわの葉)、天冬(てんどう)、麦冬(ばくどう)、石斛(せっこく)、茵陳(いんちん)、黄芩(おうごん)、枳殻(きこく)、甘草(かんぞう)
効能(適応症):胃に熱がこもることで起こる口臭・歯茎の腫れ・膿や出血、目の充血・痛み。口内炎・のどの痛み空腹なのに食欲がわかない
舌苔を削ると口臭は治るのか?
「舌苔をこまめに削れば口臭がなくなるの?」という質問をよく受けます。ある患者さんは、舌苔を取るための器具を自分で作り、周りの人に配るほどでした。私も一つ貰いましたが、正直なところ、舌苔は無理に削らない方がいいのです。
舌苔は、体調の変化を示すサインの一つです。例えば、舌苔が黄色だと体に熱がこもり、炎症があることを示します。黒っぽい場合は、乾燥していたり、熱が高くなっている状態です。白い舌苔は、体が冷えてエネルギーが不足していることを意味し、白くて厚みがあると、体内に痰が溜まっている可能性があります。このように、舌苔の状態は体の不調を表しているため、根本的な原因を解消すれば自然によくなっていくのです。
しかし、無理に舌苔を削ってしまうと、病気のサインが消えてしまい、医師が正しく診断できなくなることもあります。
実際、昔の中国では、医師が患者の舌を診て、色や舌苔の状態から病気を判断していました。舌の状態は、とても重要な健康のバロメーターなのです。
コーヒーを飲むと口臭の原因になる?
「ラテなどのコーヒー系の飲み物をひんぱんに飲むと、口臭がひどくなるの?」と聞かれることがあります。
実は、コーヒー自体が口臭を引き起こすわけではありません。歯を磨かなかったり、うがいをしないことが本当の原因です。たしかに、コーヒーにミルクやクリームを加えると舌苔が厚くなり、口の中のニオイが強くなることがあります。また、コーヒーに含まれるカフェインには唾液の分泌を抑える作用があり、口が乾燥しやすくなるため、結果的に口臭が発生しやすくなるのです。しかし、これらの問題はしっかり歯を磨き、うがいをし、水をこまめに飲むことで簡単に解決できます。コーヒーを楽しみたければ、口のケアを忘れずに!
(翻訳編集 華山律)
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