地球が「健康」であるために。グローバル課題に本気で向き合います
「with Planet」編集長に就任した竹下由佳が、編集長として考えたこと、これから取り組みたいことを伝えます。
朝日新聞社はゲイツ財団とのパートナーシップに基づき、2023年2月に新たなサイト「with Planet」を立ち上げました。私たちが何を目指し、何を届けたいのか。編集長として考えたことを伝えさせてください。
「気候変動対策は待ったなし」「アフリカでは何百万人の子どもたちが命の危険にさらされている」
そう聞いても「無関心」で生きていける人々と、「無関心」ではいられないほど影響を受けている人々がいる。
それが今の世界の状況ではないでしょうか。私たちは、このギャップを埋めたいと思っています。
感染症対策、気候変動、貧困、難民、紛争、ジェンダー不平等ーー。地球規模のグローバルな課題に、無関係である人はいません。
新型コロナウイルスは、中国・武漢で「原因不明の肺炎」が報告されて以降、瞬く間に世界に広がりました。日本でも猛威をふるった変異株「オミクロン株」は2021年末に南アフリカで確認されました。
一国だけが感染を抑え込めたとしても、グローバルにつながる私たちの社会・経済活動は十分に機能しないことも明らかになりました。
人の行き来ができないのはもちろん、海外で工場などの操業ができなければ、取引もできません。
新型コロナだけではありません。例えば、デング熱。ネッタイシマカなどの蚊によって媒介される「デングウイルス」による感染症ですが、地球温暖化の影響で、蚊の生息域が広がる可能性が指摘されています。
遠い国で起きていることも、気候変動という地球全体の問題も、「わたし」につながる。自分たちだけが「健康」でも、地球全体が「健康」でなければ、生きていけません。
私は2011年に朝日新聞に入社し、2017年から3年間、政治記者として永田町で取材をしていました。
ただ、「永田町」と直接関わりなく、仕事や育児、日々の生活に追われる同世代の友人たちに自分の書いた記事はどれだけ必要だと感じられているのだろう。そもそも「政治」に関心を持たれているのだろうか?
心に持ち続けたそんな疑問への一つの答えが、「わたし」へのつながりを伝えることだと考えています。
地球規模のグローバルな課題と同様、「政治」と無関係である人はいません。私たちが生活のなかで直面する「悩み」や「困りごと」を解決するのが「政治」だと思うからです。
例えば、不妊治療。高額な費用に悩む友人たちは周囲にたくさんいました。与野党にこうした「悩み」の声が届き、2022年4月から保険適用に。また、検察官の定年延長を可能にする検察庁法改正案も「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグがTwitter上に広がり、反対の声が可視化。結局、廃案になりました。
私たちは、地球が抱えるグローバル課題を、「あなた」につながる話として届けます。
グローバル課題の解決策を導き出すには、私たちの力だけでは不十分です。
国の政策を決める政治家、企業、市民社会、国際機関、専門家ーー。様々な立場のステークホルダーと対話をしながら、協力して問題の解決策を考えたい。
具体的には、こうしたことに取り組みます。
・課題解決が必要な国内外の現場をジャーナリストたちが取材し、記事や写真、動画などで伝えます。
・グローバル課題をわかりやすく伝える動画を制作し、ポッドキャストも配信します。
・様々な立場のステークホルダーと連携し、ともに解決策を考える場を創出します。
私たちは、次の世代によりよい地球を残すため、本気で向き合います。
「今だけよければいい」「自分だけよければいい」
そんな考えを超えて、みなさんと一緒に解決策を見つけていきたいと思います。
〈たけした・ゆか〉
1988年、広島県生まれ。2011年、朝日新聞社入社。名古屋報道センター、岐阜総局、大阪編集センターを経て、2017年より政治部で勤務。2020年よりデジタル部門で若手ビジネスパーソン向けメディアの立ち上げに携わり、インターネットメディア「ハフポスト日本版」への出向を経てwith Planet編集長。