「不安の雪だるま」をいかに転がさないか
枡野俊明(以下、枡野):不安が膨らむと、いくら良いことだと思っていても、動けなくなってしまいます。
禅では「禅即行動」、思ったらすぐに動け、動けば次へ動けるぞという言い方をします。不安が膨らむ前に動いてしまえというわけです。
武田友紀(以下、武田):枡野さんは、「不安」と「建設的な思考」を分けておられるのだと思います。私も、カウンセリングではそこを見ていきます。
まず、不安が膨らみ始めた時は、「感情と思考を分けましょう」とお伝えします。例えば、小さなミスに対して「どうしてあんなミスをしてしまったんだろう」「相手に悪く思われたんじゃないか」など、どんどん不安が膨らんだとします。
この時、思考が働いています。過去を振り返ったり、過去から未来を予想してシミュレーションするのは「思考」です。一方、ミスした時の「えっ」「どうしよう」という衝撃は「感情(情動)」です。
不安を止めるには、思考ではなく感情を手当てします。「えっ」と思ったよね、「どうしよう」ってなったんだね、と自分に話しかけて、ミスした瞬間の感情に寄り添うんです。
そうすると、ほっとして不安が止まっていきます。子供が転んだ時に「痛かったね」となぐさめられて泣き止むのと同じ理屈ですね。