永瀬拓矢「ずっと片思いじゃつらい」 運命と生命、現代と藤井聡太
将棋の第74期王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催)の第4局が16日、大阪府高槻市で再開され、対局2日目を迎えた。4連覇を目指す藤井聡太王将(22)=名人・竜王・王位・王座・棋王・棋聖と合わせ七冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑戦しているシリーズ。王将が開幕3連勝として防衛に王手を掛けているが、第1局と第3局では挑戦者が優勢を築くなど内容は拮抗(きっこう)している。研究パートナーでもある時代の覇者に挑み続けている永瀬はどのような思いで盤上に臨んでいるのだろうか。戦っている姿を開幕前に行ったロングインタビューを通して見つめたい。
運命はあります。
でも、運命を変えるのは自分だ、という考え方なんです。
変えなければただの運命です。
でも人は行動できる。
だから運命は変わるものだと思っているんです。
だいたい分かるじゃないですか。
普通にいったらこうなるよな、ということは。
運命は道筋なので、けっこう見えるんです。
自分だけじゃなくて、周りからも。
でも、変える権利……資格……どちらでもないかもしれないですけど、運命を変えられる可能性は自分にしかないんです。
他人ではなく。人は運命を変えてくれないです。絶対に。
変えられるのは、阻止できるのは自分だけなんですよ。
運命に対して競争者として参入する。
運命が見える以上、何かすべきだと思うんです。
結果的に何も出来なかった、ということもあるかもしれないけど、何もしないより何かをしようと思うことの方が大事だと私は思っています。
《永瀬拓矢は1992年、横浜市で生まれた。9歳の頃から本気で将棋の道を生きるようになった。自宅近所のカルチャーセンターで学んでいた頃、金と銀の動きの違いを理解するための時間は普通の子より長くかかったが、没入の度合いが他の子とは違った。修学旅行を休んで大会に出た。家族旅行にも盤を携行し、宿に着くなり駒を出して指した。帰り道では「将棋を指したいから道場に寄って」と言った。体調を崩して病院に行くと、待合室でずっと将棋の本を読んでいた。真夜中の部屋でたったひとり将棋を指すことが日常だった。小学6年、12歳で奨励会へ。三段の時、入学した高校はすぐにやめた。両親には「僕を信じてくれ」と言った。2009年、17歳で棋士になった。》
生きるために将棋を指すのではなく、私は将棋を指すために生きています。たぶん藤井(聡太名人・竜王)さんも、伊藤(匠叡王)さんも同じだと思います。
将棋のために生きている、と…
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