脂肪肝、薬で防げるかも? NASH発症に重要な遺伝子を発見
運動や食事療法だけでなく、医薬品でも脂肪肝を治療できるようになるかもしれない――。肥満などに伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の発症に重要な役割を果たしている遺伝子を、京都大、大阪大などの研究チームがマウス実験で突き止めた。この遺伝子が働くのを抑える化学物質をマウスに与えると、肝硬変への引き金となる線維化や炎症を抑制できた。研究チームは人への臨床応用をめざすという。
食生活の欧米化に伴い、日本でもNASH患者が増え、生涯に数%が発症すると推定されている。NASHが悪化すると肝硬変、肝がんに発展するが、肝硬変まで進んでしまうと有効な治療法がない。NASHの改善には運動や食事療法が中心で、効果的な薬がない。
研究チームは、人にはあるがマウスにはない「マイクロRNA(miR)―33b」という遺伝子に注目。この遺伝子を人為的に導入したマウスに、高脂肪食を与えるとNASHを発症した。一方、肝細胞だけこの遺伝子を欠損させたマウスをつくり高脂肪食を与えても、NASHを発症しなかった。
この遺伝子が、肝細胞の中にあるコレステロールを外に出すのを邪魔することがわかった。
研究チームはこの遺伝子が働くのを抑える化学物質(人工核酸)をつくるのにすでに成功している。そこでコレステロール分を多く含む食事を与えながら、この化学物質を2週間に1回、マウスの背中に皮下注射するのを12週間続けた。化学物質を与えなかったマウスの肝臓は線維化や炎症が進んだが、化学物質を与えたマウスの肝臓は、ふつうの食事をしてNASHを発症していないマウスと同様に、炎症や線維化がほとんどみられなかった。
研究チームの尾野亘(こう)…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら