どうせこの字が見たくて来たんだろ?
概要
鬱病(うつ病)は精神疾患の一つであり、症状としては不安感、焦燥感、精神活動の低下、食欲の低下、体重の低下、不眠症などが挙げられる。ストレスや自律神経失調症などによって引き起こされることが多い。詳しくはWikipedia記事 - うつ病 を参照。
インターネット上では以上のような深刻な意味ではほとんど使われず、「気分が落ち込む」「嫌な気分になる」「惨めな気持ちになる」「死にたくなる」「手首を切りたくなる」「樹海に走りたくなる」程度の意味で使われることが多い。
余談
嘉門達夫がこの漢字の書き方を歌にしている。曲名はそのまま『鬱』で、アルバム『バルセロナ』に収録されている。
漢字として
- Unicode
- U+6B1D
- JIS X 0213
- 1-17-21
- 部首
- 木部
- 画数
- 25画
- 意味
- 木がこんもりしげる、蒸す、こもる、気分がふさがる、香草(たとえば鬱金)、ニワウメ。
- 字形
- 諸説ある。
- 〔説文解字・巻六〕には「木、叢生する者なり。林に從い、𩰪の省声」と𩰪声の形声とある。𩰪は〔説文〕には芳草とある字。ただ金文で使われているのは鬱のほうが先であり、𩰪は後に鬱から分かれて作られた字。
- 白川静は、林+缶+冖+鬯+彡の会意としている。鬯は酒を醸す意味、彡は酒気であるとし、酒に芳草を入れて密閉し、熟成を待つという会意であるとする。
- 音訓
- 音読みはウツ(漢音)、ウチ(呉音)。訓読みは、しげる、ふさがる。
- 規格・区分
- 常用漢字である。JIS X 0213第二水準。画数が多く長い間常用漢字ではなかったが、2010年に常用漢字表に追加された。
- 声符
- 鬱を声符とする漢字には、灪、𪓊などがある。
- 語彙
- 鬱鬱勃勃・鬱結・鬱金・鬱積・鬱蒼・鬱陶・鬱茂・鬱抑
異体字
- 欝は、〔玉篇〕や〔広韻〕に「俗」、〔字彙〕に「鬱と同じ。今文、多く此の字を用ふ」とある異体字。JIS X 0213第一水準。
- 鬰は、〔正字通〕に「別に鬰と作す」とある異体字。
- 𦉚は、〔集韻〕に「鬱、――古は、𦉚と作す」とある古文。
- 欎は、〔増広字学挙隅〕にある異体字。
- 𣡇は、〔漢語大字典・異体字表〕にある異体字。
- 𣡸は、〔集韻〕に「鬱、――或ひは、𣡸と作す」とある異体字。
- 𦉠は、〔字彙補〕に〔集韻〕を引いて「古鬱字」とある異体字。
- 簡体字は郁。
𩰪
𩰪は、とくに香草の名を表すのに使われる鬱の異体字。
〔説文・巻五〕に「芳艸なり。十葉を貫と爲す。百廾貫、築きて以って之れを煑(に)るを𩰪と爲す。𦥑、冂、缶、鬯に從ふ。彡は其の飾りなり。一に曰く𩰪鬯、百艸の華なり。遠方の𩰪人の貢ずる所の芳艸なり。合わせて之れを釀し以って神を降す。𩰪は、今の𩰪林郡なり」とある。鬱林郡から献じられた香草で、これで酒に香りをつけ、神を降すのに用いるとある。
- 䖇は、〔集韻〕に「𩰪、――或ひは、䖇と作す」にある異体字。〔玉篇〕に「香草なり」とある。
- 𩏴は、〔集韻〕に「𩰪、――或ひは、𩏴と作す」、〔康煕字典〕に「本は𩰪に作る。芳草なり。或ひは䖇に作る」とある異体字。
書として
「鬱」が書かれた歴史を見ると、「鬱」の字体よりも、「欝」の字体に近い形で書かれていることが多い。
JIS第二水準の「鬱」よりも、JIS第一水準の「欝」 を常用漢字に採用する話があってもよかったのではないか、と思う。
野崎邦臣『漢字字形の問題点 ―併『平22、常用漢字表』追字批判―』(天来書院、2013)では「『鬱』よりも『欝(「爻」の部分が「夕」)』の方が『爵』と関連付けて覚えやすい。」と常用漢字の「鬱」採用を批判している。
「※」の部分を「米」と書くかについて
財前謙『新常用漢字196 ホントの書きかた』(芸術新聞社、2010)や、財前謙『字体の話 ―超「漢字論」―』(明治書院、2010)には、
「米」+「凵」(器)+「匕」(中味をすくいとる)による会意。したがって、「※」は米印ともよぶように、楷書では「米」である。
「※」は「米印」というように、元来は「米」のはずなのです。「鬱」を通用の字体としていくなら、教科書体は右下の手書き文字のように「※」ではなく、「米」でデザインされることが、今後の課題となるでしょう。
―財前謙『新常用漢字196 ホントの書きかた』
〈凵〉(器)の中に〈※〉(米)を入れたものを〈匕〉(すくいとる)という意味です。つまり、〈※〉は、「米印」ともいうように〈米〉なのです。したがって〈※〉なら筆順も確定できず、書き方がわからないままなのですが、これまた篆書の造形をデザインしたものであって、楷書として書くなら現代人の文字感覚としては〈米〉が適切な書き方であることは納得されるでしょう。
のようにある。しかし「※」の部分が「米」を表しているか定かではない……。「鬯」の甲骨文と「米」の甲骨文を見比べてみたが、中に入っているのが「米」ではなさそうだ。
字形について〔説文〕には「𠙴に從ふ。𠙴は器なり。中は米に象る。匕、之れを扱(すく)ふの所以なり」とあり、小篆体はまさにそんな感じだが、甲骨文・金文は形が違う。
また、歴史的に「※」の部分が「米」と書かれたものはない。『楷書では「米」である』と断言されているが、いやそれは……という感じである。
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関連項目
鬱になること
- 誰かの死に直面すること(死、死亡)
- グロ
- 通勤
- 犯罪に遭うこと(被害)
- 炎上
- いじめ
- ひとりぼっち
- 病気
- 負けること、負け、敗北
- 戦争
- 好きなアニメ・漫画のクール・連載が終わること(難民)
- 恥をかくこと
- 退学
- 留年
- 離婚
- 17
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