新年度を控え、新たな職場や学校へ通うことになる人が多いだろう季節になった。通勤通学の手段として公共交通機関では不便だからと2輪や4輪を使うことになるケースもあるだろう。最も手軽な移動手段は2輪だろうし、維持費や高騰を続けるガソリン代を考えたら燃費の良い原付スクーターが最強だ。新たな生活を迎えるには新たな相棒が欲しいもの。しかも長く使える新車から選ぶなら、コスパも大事。そこで新車価格が21万7800円(税込・以下同)と破格なホンダDio110ベーシックを紹介したい。
Dio110ベーシックは2023年3月に発売されたモデルで、Dio110から装備を簡素化して価格を引き下げた意欲作。原付2種モデルとしては異例の安さで大人気なのだ。今回の記事は例によってユーチューブで無料動画を配信している「モトチャンプTV」に上げられている「ホンダDio110ベーシックは、細くて軽くて安くて……ちょうどいい!」という回をダイジェストにまとめたもの。より詳しく知りたい人はリンク先の動画を視聴してほしい。
動画では鈴鹿8耐で実況を務めるMCシモを迎え、モトチャンプ編集長チャボの2人が紹介してくれる。レース経験のあるMCシモなので、最後には試乗インプレッションもしてくれた。
Dio110ベーシックは基本的に従来からラインナップされているDio110と同じ構成。そのため搭載される空冷109cc単気筒のeSPエンジンも同じだし、最高出力も8.7psと変わらない。基本的な動力性能は同じだということ。Dio110といえば前後14インチタイヤであることも特徴で、今回のベーシックにも引き継がれている。
この動画は2024年8月に公開されたため現在では価格が上昇してしまっている。動画公開時の21万7800円に対して現在は25万800円となっている。Dio110の新車価格は25万3000円(動画公開時で現在は28万6000円)であるのに対し、ベーシックでは驚きの21万7800円(現在は25万800円に上昇している)を実現。どうして低価格にできたかと言えば、装備の簡素化だ。まずスマートキーだったところから物理的なキーへと変更したことでコストダウン。さらに塗装を変更することで低価格を実現した。
どれだけDio110ベーシックが安いかといえば、ライバル車と比較してみるのが一番。多くのモデルが20万円台後半であるので、どれだけDio110ベーシックがお買い得かわかるだろう。
通勤通学モデルとして大事なポイントに車両重量の軽さが挙げられる。毎日乗るものだから、あまりに重くては疲れてしまう。それに軽さは動力性能を語る上でも欠かせない要素。速さだけでなく燃費性能にも大きく影響する。そこでライバル車と比較してみると、ヤマハJOG125が最軽量モデルだが、Dio110ベーシックとの差はわずかに1kg。実際に乗ってみて重量差を感じることはまずないはずだ。
軽さの理由はスリムな車体であること。スリムだがシート長は余裕あるもので、その下のメットインスペースも広そうに感じる。ところがシートをはね上げると意外にも狭い。燃料タンクが後方に位置しているからで、ヘルメットは前方に2つあるヘルメットホルダーを使うのが良さそうだ。ただ、シート下スペースにプラグレンチとマイナスドライバーがすぐに取り出せるようセットされている点は評価すべきだろう。
原付2種スクーターでも装備されることが少ないポイントとして、左ブレーキレバーにブレーキロックレバーが装備されることが挙げられる。坂道に駐車するような場合、ギアを入れて固定できないスクーターだと嬉しい装備で、ブレーキレバーを握りながらロックレバーをライダー側に引く。この状態でブレーキレバーを離すとタイヤがロックされる。解除するにはブレーキレバーを握ると自動的にロックレバーが外れるので、坂道での信号待ちなどの状況でも重宝することだろう。
ベーシックだけではなくDio110もそうなのだが、実はメーター内に時計が装備されない。通勤通学モデルとしては遅刻しないかどうかを知りたいものなので時計はぜひ装備してほしいところ。スマホホルダーを装着してスマホをナビ代わりにすればいいかもしれない。
では走りの実力はいかがなものだろう。MCシモがサーキットでテストライドした率直な感想としては良い意味で「普通」とのこと。同じホンダのリード125と比較すると、全体的にまったりしている印象。リード125はeSP +エンジンなので4バルブヘッドだからエンジンが元気。比較してはかわいそうだが、もちろん普通に走るには十分。では14インチタイヤによる乗り心地や操縦性はどうだろう。乗り心地はとても穏やかで、とんがったところのない実に素直な印象。スクーターに多い10インチや12インチと比べてヒラヒラした操縦性ではないものの、誰もが安心して乗っていられる操縦安定性。かといってダルな印象ではなく素直に向きを変えてくれ、さらに直進・コーナリングとも安定感が高い。
乗って優秀だと感じられるのがブレーキ。車体が軽量なことも理由の一つで、とても良く効いてくれるしコントロールもしやすい。14インチタイヤであることも相乗効果として効いているのだろう。低価格であることを考えたら文句なしのDio110ベーシックだが、あまり褒められないポイントがシートの硬さ。前後に移動しやすいのは美点ながら、通勤通学モデルとしては少々硬くてチープに感じられるかもしれない。