[調査・レポート]
ITインフラ構築/運用やAIへの投資は世界的傾向、日本企業は基幹システムの刷新にも注力─IDC
2025年3月18日(火)IT Leaders編集部
IDC Japanは2025年3月17日、ユーザー企業におけるIT/デジタル投資の予算動向を国内と世界で比較した調査結果を発表した。国内外ともデジタルトランスフォーメーション(DX)やAI活用をさらに推進するために、インフラ構築や運用への投資を優先している。世界全体でカスタマーエクスペリエンス(CX)向上の意向が強く、国内企業ではDXと並行して基幹システムのモダナイゼーションに注力する方針が目立っているという。
米IDCは、世界約20カ国、従業員数500人以上のユーザー企業でITの調達に関する意思決定を担うマネジャー以上の役職者を対象に、アンケート調査を実施している。今回、ユーザー企業におけるIT/デジタル投資の動向を調査し、国内と世界で比較した。レポート「2025年 国内企業のIT/デジタル予算動向調査」で詳細を報告している。
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図1は、調査で判明した、2025年に向けて予算削減の可能性が低いIT投資分野である。国内外とも、どのような経済環境下においても、インフラ/IT運用の最適化、AIおよび自動化、データ/アナリティクス、セキュリティ/法令順守への投資意向が強い。「DXやAI活用のさらなる促進に向けて、基盤構築および運用を優先的に進めようとしている」(IDC)。
国内企業においては、これらに加えて、基幹業務システム/アプリケーションのモダナイゼーションなどへの予算確保に対する意欲が高い。世界全体では、カスタマーエクスペリエンス(CX)関連への投資意欲が比較的高いことがわかった。
IDCは別の調査結果から、ほぼすべてのデジタル分野のテクノロジー(AI、アプリケーション、開発/運用基盤、インフラなど)において、国内企業は、世界の企業と比較して投資意欲が高いことが確認しているという。「背景に主要先進国と比べたDXやAI活用の遅れを挽回する必要性や、深刻な人材不足への懸念がある。多くの国内企業がIT投資を急務と認識していることが推察される」(IDC)。
IDC Japan Tech Buyer リサーチマネージャーの鈴木剛氏は、DXやAIへの投資は、今後これまで以上に投資リターンを意識したKPIの設定と共に進める必要があると指摘する。「投資の予算は、すべてが新規の投資額から捻出されるのではなく、既存のIT運用や関連業務の改善や効率化によって生まれた余剰予算も加味し、適切に配分すべきである」(鈴木氏)