──日本では、1970年代前半に左翼運動が大きな挫折を経験しています。その後、日本では西洋諸国と比べて、左派アクティビズムがあまり広まりませんでした。一方で、近年は過去の挫折とは異なる文脈から、左派の台頭が見られます。たとえば経済学者の斎藤幸平は、経済的・環境的観点からマルクス主義と脱成長を主張しています。 こうした日本の状況を、どのようにご覧になりますか? 斎藤さんのことはよく知っています。以前本人にお会いして、たくさん話をしました。彼の仕事は、マルクスが晩年の10年間、環境問題、つまり資本主義が人間の生産活動と自然界のバランスを破壊するという問題に没頭して取り組んでいたことを、見事に示してみせました。 ですが私は、彼の主張にも問題があると感じています。それは広く議論されている、他の多くの左派の提案にも共通する問題です。これはとても素朴で常識的な反論なのですが、斎藤さんの主張を実現させる