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【プレミアムレポート】これまでのDOGE関連の削減

2025/03/05
更新: 2025/03/06

起業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」は、トランプ政権の発足から最初の6週間で1050億ドルの支出削減を達成したと発表した。

DOGEが、特にマスク氏の取り組みについて、トランプ大統領から称賛を受ける一方で、批判の声も上がっている。批判者からは、政府データの安全性への懸念や、米国際開発庁(USAID)の閉鎖、数千人に及ぶ連邦職員の解雇など、一部の施策の合法性に疑問が投げかけられている。

DOGEはあくまで諮問機関であり、予算の削減や人員整理を直接決定する権限は持たないものの、同機関の提言は、政府機関の担当者によって実行されている。

以下は、DOGEが特に大幅な削減を提案した分野の概要である。多くの削減は、今後も継続的な節約効果をもたらすものであり、対象となるプログラムやサービスが、本来なら今後も継続する予定だったことを考えると、その影響は長期にわたると言える。 これまでの削減額は、マスク氏が見込む総額のごく一部に過ぎないとも言われている。

マスク氏は来年までに国家予算から2兆ドルを削減する方針を示しているが、多くのアナリストは、その実現可能性に疑問を呈している。 2023年度の米国の連邦予算は6兆1000億ドルで、財政赤字は1兆7000億ドルに達していた。

使用されていない不動産

米国連邦政府総務庁(GSA)は、国内に8600棟以上の建物を所有または賃借しているが、これらの建物の一部は空室、または十分に使用されていない。

DOGEはこれまでに、960万平方フィート(約89万㎡)に及ぶ748件のリース契約の解除を勧告しており、これにより約2億6900万ドルの削減が見込まれる。

キャンセルされた不動産リース契約数:748件(2億6900万ドル)

また、総務庁が所有または賃借する建物のうち、188棟は完全に空室であり、96棟は少なくとも50%が空きスペースとなっている。 これらの未使用スペースは、総計2800万平方フィート(約260万㎡)に達している。

ワシントンD.C.だけでも、連邦政府が保有するオフィススペースは約300万平方フィート(約28万㎡)に及ぶ。1月28日に開催された「公共会議監督委員会(Public Meetings Control Board)」の会合では、ワシントンD.C.の複数の政府所有物件が「処分の検討対象」となっていると報告され、首都の再開発の可能性が示唆された。

浪費

政府の無駄遣いの一部は、注意不足や不適切な支出判断によって発生すると言われ、 これは、個人が無料トライアルの解約を忘れたり、予算オーバーのリフォームに、追加費用をかけたりするのと似ている。

DOGEは、総務庁がDOGEの提言に基づき、11万4千件以上の未使用ソフトウェアライセンスと、15の非効率または重複するソフトウェアをキャンセルしたと報告。 これにより、年間960万ドルの節約が実現した。

また、DOGEは、人事管理局(OPM)が進めていたウェブサイトの刷新プロジェクトを問題視。
このプロジェクトは、技術革新基金(Technology Modernization Fund)から600万ドルの融資を受けていたが、すでに500万ドルが費やされた段階でも完成にはほど遠い状態だった。
さらに、新サイトの運用コストは、年間40万ドルと見積もられており、現在のサイト維持費(年間1千ドル)と比べ大幅なコスト増となる可能性があったため、OPMはプロジェクトを中止した。

304件の不要なライセンスやサブスクリプション契約がキャンセルされた(6700万ドルの節約)

 

 

DEI・気候関連プログラムを大幅削減

トランプ政権は、政策の優先順位を変更し、支出削減を進めている。その一環として、多様性・公平性・包括性(DEI)関連やジェンダー関連のプログラムが廃止された。

これにより、ミャンマーで実施されていた多様性・包括性奨学金プログラムの2800万ドル、ジェンダー平等および女性のエンパワーメント推進拠点のための4100万ドル、DEI関連の研修助成金3億7300万ドル、公平性支援センターの運営費3300万ドルが削減された。

また、その他の政策転換により、太平洋諸島向けの気候資金3700万ドルと、米国国税庁の情報技術(IT)運用費19億ドルの削減も決定された。

合計86のDEIおよび気候関連プログラムが廃止され、総額4億1800万ドルの予算が削減された。

(出典: DOGE、2025年3月4日現在 大紀元作成)

「アメリカ第一」政策でUSAIDを大規模再編 削減額は約140億ドル

米国国際開発庁(USAID)は、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策の下、対外援助の見直しと大規模な組織再編が進められている。
同庁の資金運用に対する疑念もあり、これまでに約139億ドル(約2兆円)の歳出削減が実施された。

 

(出典: DOGE、2025年3月4日現在 大紀元作成)

 

政府職員の削減 退職勧奨と解雇

人事管理局は1月、連邦職員に対し、7か月分の給与を保証する早期退職勧奨制度を導入し、約7万7千人が応じた。

また、すべての連邦職員に3月1日までに職場に戻るよう命じた。

コロナによるパンデミックが2023年5月に終息した後も、多くの職員が在宅勤務を続けていた。

マスク氏は2月26日、「必要不可欠な仕事をし、それを適切にこなしている人材は引き留める。しかし、不要な仕事や十分な成果を出していない職員は、公的資金で雇用を維持すべきではない」と発言した。

現時点で人事管理局は解雇者数を正式に発表していないが、一部の解雇は連邦裁判所により差し止められたり、延期されたりしている。

しかし、複数の報道を集約するウェブサイトによると、13の省庁および13の独立機関で3万2千人以上の職員が解雇されたと推定されている。

大紀元は、この件について人事管理局に説明を求めている。

 

大紀元作成

連邦政府職員総数は現役軍人・郵便局職員を除いて約240万人。平均給与約8万300ドル(約1200万円)

進捗状況

DOGEは契約の取り消しに関していくつかのミスを犯しており、エボラ対策プロジェクトの中止や、国防総省にとって重要な核技術者の解雇といった問題が発生した。

しかし、どちらのケースもすぐに修正された。

マスク氏は2月26日に行われた大統領閣僚会議の初会合で「私たちはミスをすることもある。完璧ではない」と語った。

「でも、間違えたらすぐに直す」と述べ、その例としてエボラ対策資金の復活を挙げた。

DOGEの目的の一つは、こうしたミスを防ぐことだ。連邦政府では、不適切な支払いの割合が約4%にのぼると言われており、これは昨年だけで約1500億ドルが、適切な書類がないまま、または何らかのミスによって、支払われたことを意味している。

(出典: DOGE、2025年3月4日現在 大紀元作成)

 

エポックタイムズの政治記者
エポック・タイムズ記者。国政を担当し、エネルギーと環境にも焦点を当てている。核融合エネルギーや ESG から、バイデンの機密文書や国際的な保守政治まで、あらゆることについて書いている。米国シカゴ拠点に活動。