米議会上下両院で「法輪功保護法案」が再び提出された。法案は、中国共産党(中共)政府による法輪功学習者への弾圧と、それに伴う強制的な臓器摘出に関与した者に対して制裁を科すことを目的としている。
違反した場合、最高25万ドルの民事罰金、または最高100万ドルの刑事罰金と最長20年の懲役が科される可能性がある。
この法案は、中国共産党が政権を維持している限り、アメリカが臓器移植分野で中国との協力を行わないこと、同盟国や国際機関と連携して法輪功への弾圧の実態を周知すること、特定の対象に対する制裁やビザ制限を同盟国と協調して実施することをアメリカの政策として定めるものである。
スコット・ペリー下院議員とテッド・クルーズ上院議員は、それぞれ2月24日に下院、3月3日に上院へ「法輪功保護法案」を提出した。
クルーズ氏は大紀元に「中国による法輪功学習者への弾圧は、信教の自由と人権への攻撃だ」と述べた。また、法案の共同提案者には、ロン・ジョンソン上院議員、リック・スコット上院議員、トム・ティリス上院議員が加わっている。
クルーズ氏はさらに、「中共が国家ぐるみで進める臓器摘出産業を解体すべき時はとうに過ぎている」と述べ、同僚議員に対しても、この人権侵害に立ち向かい、「中共に責任を取らせるために協力してほしい」と訴えた。
ペリー議員も同様の見解を示し、大紀元に対し「中共とその協力者は、これらの残虐行為に対し責任を問われるべきだ」と語った。
また、「アメリカは、自由を守るリーダーとして、中共による法輪功学習者への組織的な拷問、投獄、強制的な臓器摘出に沈黙してはならない」と強調した。
この法案の提出は、米議会が中国の強制的な臓器摘出に対抗するための最新の取り組みの一環である。米議会は、約10年前にこの残虐行為を全会一致で非難している。昨年6月には、類似の法案(「法輪功保護法案」)が下院を通過したが、上院で審議が停滞していた。
法案は米大統領に対し、法案成立後、半年以内に強制臓器摘出の加害者のリストを関係する議会委員会に提出し、毎年リストを更新するよう要求している。
法案のもと、国務長官は、保健福祉長官と国立衛生研究所(NIH)所長と連携し、中国の臓器移植政策とその実態に関する報告書を作成し、関係する議会委員会に提出することが求められる。
報告書には、法輪功学習者を含む良心の囚人に対し、中国の臓器移植政策がどのように適用されているかが詳しく記載される。 また、中国国内における年間の臓器移植手術件数や、臓器の供給源(自発的な提供の有無を含む)についての調査も行われる。
西側諸国では、臓器提供制度が整備されているにもかかわらず、移植に必要な臓器を得るまでに通常数年を要する。しかし、中国ではわずか数日で手術が行われる場合があり、多くの患者が移植手術を受けるために中国へ渡航している。 法案は、中国での臓器提供の待機期間が現実的なものかどうかを、国務長官および各省庁の長が検証することを義務付けている。
過去10年間にアメリカが中国の臓器移植研究を支援するために提供した助成金の一覧も作成される。さらに、2018年に成立した「エリ・ヴィーゼル・ジェノサイド(大量虐殺)と残虐行為の防止法」に基づき、中国政府による法輪功への弾圧が「残虐行為」に該当するかどうかが評価される。
中共は、真、善、忍を原則にする精神修養法である法輪功を取り締まりの主要対象にしている。1999年に中国共産党が法輪功への弾圧を開始して以来、学習者たちは継続的な嫌がらせや逮捕に直面し、拘束下で拷問を受けていると報告されている。
2019年には、独立調査機関「民衆法廷」が調査を行い、中共政府による強制的な臓器摘出の主な犠牲者が法輪功学習者であると結論付けた。同法廷は、中国全土で長年にわたり、大規模な強制的な臓器摘出が行われてきたとしている。
民主党のパット・ライアン下院議員は、下院版の法案を共同で主導することに誇りを感じていると述べた。
同氏は大紀元に「私たちは、中共の不正行為者や臓器売買に関与する者を、その許しがたい犯罪の責任から逃れさせてはならない。全力を尽くして責任を追及すべきだ」と語った。
また、この超党派の法案について「その実現に向けた大きな一歩」だとし、今後も人権の抑圧や宗教団体への迫害が世界のどこで起ころうとも、揺るぎない姿勢で訴え続けると強調した。
米国内では、クルーズ議員の出身地であるテキサス州を含む3つの州が、中国の臓器移植に関与する行為を制限する法律を制定しており、これには中国に関連する移植手術の健康保険適用を制限する措置が含まれる。現在、アリゾナ州でも同様の法案が審議されている。
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