「銃撃」事件の影響と昨日発表されたバイデン大統領の次期大統領選からの撤退で、ドナルド・トランプ共和党大統領候補の次期大統領当選の可能性が高まっている。共和党は「ヒルビリーの歌」で広く知られるJ.D.バンス上院議員を副大統領候補に指名し、トランプ氏の補完役として期待している。この状況の中、日本の大企業がトランプ前政権の実力者を電撃的に招聘した。
7月21日、読売新聞は「日本製鉄がマイク・ポンペオ元国務長官を顧問に招聘した」と報じた。「ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス再入を見据えた布石だ」という分析も続いた。トランプ前政権でCIA長官、国務長官を務めたポンペオ氏は、最近の共和党大会で支持演説を行い、トランプ氏の支持を訴えた。次期政権でも重要な役割を果たすと予想される。
日本製鉄は粗鋼製造能力で世界第4位の鉄鋼製造企業であり、第二次世界大戦前の日本最大の鉄鋼企業「旧日本製鉄」を母体としている。戦後、財閥解体政策により八幡製鉄、富士製鉄、住友金属工業などに分社化され、その後、新日本製鉄、新日鉄住金を経て2019年から「日本製鉄」の名称を使用している。
日本製鉄は昨年12月、149億ドル(約1兆9400億円)でアメリカの大手鉄鋼企業USスチールの買収を宣言した。電気自動車(EV)を中心に成長が続くアメリカの鉄鋼市場で確固たる地位を築く戦略だ。
USスチールは、1901年に鉄鋼王アンドリュー・カーネギーとJPモルガンの運営していた鉄鋼会社の合併で設立され、アメリカの近代産業の象徴として知られる。設立当初、アメリカ全体の粗鋼生産量の約65%を占め、1960年代まで世界最大の鉄鋼会社として名を馳せた。
しかし、日本やヨーロッパの鉄鋼会社との競争に押され、最近では中国産の低価格鉄鋼製品の攻勢により、急速に地位を失った。
日本製鉄はUSスチールを子会社化する計画であり、USスチールの名称や本社所在地は維持する方針だ。合併が成立すれば、日本製鉄の粗鋼生産能力は5886万トンとなり、中国の安山鋼鉄集団(5565万トン)を抜いて世界第3位に躍り出る。
日本製鉄の買収提案に対し、USスチールの株主には、圧倒的な賛成を得たが、全米鉄鋼労働組合(USW 多様な産業で働く労働者を代表)が強く反対しており、買収作業の障害となっている。政治界の反応も否定的だ。ジョー・バイデン現大統領は「アメリカ企業として残るのが望ましい」と述べ、ドナルド・トランプ前大統領は「再選した場合、合併を阻止する」と公言した。
反対意見を鎮めるため、日本製鉄は全米鉄鋼労働組合とUSスチールの協定を遵守する、アメリカ本社をピッツバーグに移転することなどを約束し、解雇や工場閉鎖、海外移転は行わないと保証した。
この中でポンペオ元長官の招聘を発表した日本製鉄は、「ポンペオ元長官は民主党と共和党の両方から尊敬されている。アメリカの地政学的および安全保障課題に対して非常に優れた洞察力を持っている」との公式見解を示した。
日本側のメディアは、日本製鉄のポンペオ元長官の顧問としての起用は、トランプ前大統領の再選を見越した動きと解釈している。読売新聞は「日本製鉄のUSスチール買収が米大統領選と連動して政治問題化している。ポンペオ元長官の招聘により買収交渉を円滑に進める狙いがある」と分析した。
共同通信は「再選を目指すトランプ前大統領の優勢が伝わる中で、親しい関係にあるポンペオ元長官を起用するのは(USスチール買収に関する)難局を打開する目的があると見られる」と報じた。
ブルームバーグ通信は「ポンペオ元長官は同盟国日本と連携して、米国製造業の基盤を拡大すべきだと主張した」と伝えた。アメリカと日本の両国代表企業が協力して規模を拡大し、中国企業に対抗する必要があるという意味だ。
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