実質賃金プラスに「全く足りない」賃上げ 背景に「異常な労使関係」

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北川慧一
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 今年の春闘では労使ともに「賃上げの定着」を訴えてきた。昨年並みの高水準となった12日の大手企業の集中回答を受け、全体の賃上げ率は5%超えの昨年をやや上回るのではという見方もあるが、物価高にあえぐ暮らしは上向くのか。

 「賃上げと投資が牽引(けんいん)する成長型経済の実現に向けた機運が高まっている」。石破茂首相は、12日夕に開いた政府と経済界、労働組合の代表が集まる政労使会議でこう述べた。労組の中央組織・連合の芳野友子会長は「昨年の流れを継続できている」、経団連の十倉雅和会長も「我々は『定着』と言ってきたが、定着しそうだなというのが確信に変わってきた」と話した。

 経済が停滞した1990年代からの「失われた30年」では、賃金はずっと上がらなかった。2000年代に入ると、経営側は「春闘は終焉(しゅうえん)した」として、「(基本給を底上げする)ベースアップ(ベア)は論外」などと主張。労組も賃上げより雇用の確保を優先し、ベアを要求しない時代が長く続いた。物価が高騰した近年になって局面が変わり、労使がともに賃上げを訴える展開が始まった。

 定期昇給(定昇)を含む賃上げ率は、連合の集計で、23年に30年ぶりの3%台(3.58%)に乗り、24年は33年ぶりの5%台(5.10%)に加速した。

 それでも専門家の間では「昨年並みでは不十分」との見方が強い。

 労働政策研究・研修機構の藤…

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この記事を書いた人
北川慧一
経済部|労働キャップ
専門・関心分野
労働政策、労働組合、マクロ経済
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