自民「2氏の競争奏功」 立憲「責任果たせた」 千葉の各党幹部会見

藤谷和広 伊藤繭莉 三嶋伸一 田中久稔
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 過去最多タイの14人が立った参院選千葉選挙区(改選数3)は、自民の新顔がトップの得票数を獲得し、自民が2議席、立憲が1議席を守った。比例では、得票率を減らした立憲に、維新が迫る結果となった。各党の県組織幹部が会見し、選挙戦を振り返った。

 自民は、千葉選挙区で新顔の臼井正一氏(47)が約65万7千票を獲得してトップで初当選し、現職の猪口邦子氏(70)が3選を果たした。県内の比例得票率は35・69%で、近年の国政選挙と同じ水準を維持した。

 県連の浜田靖一会長は「2人の候補者、組織で切磋琢磨(せっさたくま)した結果」と総括した上で、臼井氏の得票について「驚いた。こんな形で良い結果が出るとは思わなかった」と述べた。臼井氏は選挙戦で「日本の平和と独立、日本人の命を必ず守り抜く」と訴えた。「県民が持つ不安に対し、明快に自分の信念を話していた。時代とマッチしていた」と浜田会長は振り返る。

 臼井、猪口両陣営とも、互いを強く意識した選挙戦だった。トップ当選を目指した猪口氏に対し、臼井氏がどれだけ迫れるかが焦点とみられていた。臼井陣営は石井準一参院議員が全面的に支え、昨年の知事選で支援した熊谷俊人知事との協調を前面に打ち出す戦略をとった。猪口氏を推したのは県連の主流派県議で、石井氏や熊谷県政と緊張関係にあった。

 今回の選挙結果が県連に与える影響について、浜田会長は来春の統一地方選に言及し、「自分たちの選挙になるのでそういう対立をしている場合ではない」。熊谷県政との関係について、議会では是々非々の対応があると述べた上で「良い関係をつくっていくのは当然のこと」と語った。

 臼井、猪口両氏を推薦した公明。県本部の平木大作代表は「(今回)どちらかを重点的に推すことはしていない」とした。比例の戦いに力を入れたが、得票率は前回2019年より約2ポイント減の11・87%だった。

     ◇

 全国では維新が比例区票争いの「野党第1党」になるなか、県内では立憲が、維新と約1万2千票差で野党トップの座を維持。ただ、得票率は13・33%で前回より6ポイント超減らした。千葉選挙区で3選を果たした、現職小西洋之氏(50)の得票率は6年前並みの18・62%。立憲県連の長浜博行代表は「千葉なりの責任は果たせた」と総括した。

 昨年の衆院選で比例得票を3倍の約30万9千票に増やした維新は、今回約33万1千票を得た。ただ、選挙区での新顔佐野正人氏(54)の得票は25万票余りで及ばなかった。千葉維新の会の藤巻健太代表代行は「(党所属)市議の人数的な底力の差や、準備期間の短さ、候補者の知名度の差が出た」と振り返る。

 共産は、新顔の斉藤和子氏(47)が前回候補の半分強の得票にとどまった。比例得票も、昨年衆院選の約19万3千票から約17万8千票に減らした。小倉忠平県委員長は「ロシアによるウクライナ侵攻で軍拡や改憲の大合唱が始まり、憲法9条を守り生かすことを主張した私たちへの大逆流となった」と語った。

 国民の比例得票率は6・53%で、昨年衆院選より1ポイント超の微増。新顔の礒部裕和氏(40)は比例得票数に近い約16万2千票を得たが、6番手に終わった。県連の天野行雄幹事長は「大変厳しい現実がある」と述べた。支持基盤の連合は今回、礒部氏と小西氏の双方を推薦。割れた組合票の一部は得たが、候補者の知名度不足もあり得票は伸び悩んだ。ただ、「出さなかったら(県内で)党の求心力はほとんどなくなってしまう」と候補者を擁立した意義を強調した。

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この記事を書いた人
藤谷和広
くらし報道部|厚生労働省担当
専門・関心分野
災害、民主主義
田中久稔
西部報道センター|遠賀・中間・京築・水俣担当
専門・関心分野
水俣病、公害、自然災害、貧困、差別、軍事