断面が命、イチゴも丸ごと フルーツサンドにつつむ思いと政治
参院選は10日に投票日を迎えます。コロナ禍、ウクライナ危機、価格高騰など、誰もが予想しなかった時代を生きる私たち。生きる源となる「食」を通じて、人々の思いを聞きました。
#食べる・生きる・考える
イチゴを丸ごと切った色鮮やかな断面にまず視線を奪われる。どこから食べようか、食べてしまってもいいものか、迷うほどのボリューム感。ほおばると、イチゴのさわやかさと、甘さを抑えた生乳100%の生クリームが口に広がる。
大阪府泉佐野市の建設会社敷地内にあるフルーツサンド専門店「まほろ屋」。コロナ禍で飲食業界が苦境にあった昨年4月、事務員の石井智江さん(53)がオープンした。
コロナ禍でフランス料理店の売り上げが落ちた知人のシェフが、フルーツサンドのテイクアウトを始め、刺激を受けた。小さくても店をやりたいと募らせていた思いにスイッチが入った。敷地の片隅を社長の好意で使わせてもらった。
口コミで評判に
フルーツサンドは味はもちろん、おいしそうに見える「断面が命」。だが、実際に作ると、うまくいかない。「どうやって?」
各地に食べに出かけ、知人のフルーツサンドも分析し、今の「断面」を実現。農家を訪ねて厳選した果物を入荷する道筋もつけた。
事業所と住宅が混在する街角に週3日で店を開くと、ミカンやマンゴー、サツマイモの断面を大胆に見せる分厚いサンドは、生クリームとパンとのバランスがよく、「すべてが計算されている!」とSNSや口コミで評判に。40分で完売する日もあった。高校受験を控えた末娘も早起きして包装を手伝ったが、昨年7月には徹夜で仕込んだ200個が4時間で完売した日もあった。
沖縄など遠方からも「ぜひ送って」と注文は入った。生クリームと果実を使ったサンドは日持ちが効かず、発送には向かない。余ってしまうフルーツのロスが出るのも農家に申し訳なかった。
遠方からの注文に応えるには
フルーツサンドそのものを瞬…
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