コロナ禍の前と後で8割の値上げも 戦争に影響される花火の星づくり
室矢英樹
【動画】究極のハンドメイド、花火作り=室矢英樹撮影
連載「HANABI」第7部 直面するコスト高(下)
10月5日、秋田県大仙市の響屋(ひびきや)大曲煙火社長の斎藤健太郎(45)は韓国に渡っていた。
ソウル世界花火祭り。漢江(ハンガン)に浮かべた台船から、時間差で色が変化する花火「グラデーション」を打ち上げ、100万人の観客を喜ばせた。斎藤は、祭りを主催した財閥ハンファから「来季もお願いしたい」と要請された。
響屋にとって、2024年は飛躍の年になった。初めて海外に輸出し、「大曲の花火―春の章―」で初の総合優勝を飾った。国内外で評価をされたのが、つやのある発色だった。
春の章で披露した作品「昇曲導付五重芯変化菊」は、くっきりと分かる6層の色を配した。色をつくる火薬の配合比は料亭のだし、フランス料理店のソースに相当し、門外不出の企業秘密だ。響屋では、このレシピを知るのは斎藤と配合係の大黒貴史(36)の2人しかいない。
原産国が戦争で大きな影響受ける
順風満帆に見える響屋も「危機」に直面している。原材料の仕入れ値が上がっているのだ。
花火のもとは「星」と呼ばれ…
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