アニメ「メダリスト」振り付けの鈴木明子さんに徹底インタビュー 「米津玄師さんの曲とリンクする部分が…」
2025年2月6日 14時00分 (2月6日 16時10分更新)
1月から放送中のアニメ「メダリスト」。キャラクターの振り付けなどに協力した愛知県豊橋市出身のフィギュアスケート元日本代表選手の鈴木明子さんが、作品の魅力や舞台裏を語った。
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すずき・あきこ 1985年生まれ、愛知県豊橋市出身。6歳の頃からスケートを始め、18歳で摂食障害を患い、引退の危機に直面するが、競技に復帰。2010年バンクーバー五輪8位、14年ソチ五輪8位と2大会連続で入賞を果たす。現在はプロとしてアイスショー出演や振付師、講演活動などで活動している。
―アニメの感想を聞かせてください。
原作自体が大好きなので、キャラクターが動き出してせりふの声が載ると言うのが、すごく生きているものに変わっているような感覚で、毎回楽しみに見ています。毎回込み上げてくるところがあって、毎回泣いています。原作は1巻を読んだ時から、その1巻の中だけで4回泣いているんですね。なぜかというと、自分がスケートを始めた時の思いとか、お母さんとの関係性やコーチとの関係性とか、その一つ一つ、あと主人公のいのりちゃんのスケートが好きでやりたいという気持ちとか、そういうものがずっとスケートを続けてきた私にとっても、自分がどこかで感じていたことと近いものが多くて。
だからこそ毎回そこでいろんなことを思い出したり、いろんな気持ちの感情を思い起こすというか、そういう部分がすごくあるので、この作品はすごくリアルな形で描かれているなという感じですね。
―アニメ化に当たって、鈴木さんに協力の依頼が来て、すぐ快諾したのでしょうか。
「ぜひやりたい」という気持ちと「私でいいんでしょうか」という不安もありましたが、せっかくこういう機会をもらえるのならば、と。実は、もともと原作でもいろいろ取材を受けて関わっていて、そこからなので。ありがたい、けれども同時にプレッシャーも感じました。人気の漫画がアニメ化されることで、期待している方たちがたくさんいるだろうと思うと、その期待に応えるというか、その上をいく作品作りをしたいと感じていたので。
とはいえ私もアニメのことをやるのは初めての経験だったので、特に初回に「モーションキャプチャー」を撮った時には、自分の動きがどんなふうにアニメになっていくのかというのを見て、「もっと大きく表現した方が伝わるかな」とかそういうことを随時いろいろと自分の中でブラッシュアップしながら取り組んでいきました。
メダリスト 愛知県出身のつるまいかださんが「月刊アフタヌーン」(講談社)で2020年から連載。22年には「次にくるマンガ大賞」に選ばれた。小学5年生の結束いのりが、コーチの明浦寺司と出会って才能を開花させ、狼嵜光たちと競い合うという物語。舞台のモデルとなった名古屋・大須の名古屋スポーツセンターなどはファンたちの「聖地」となっている。アニメはテレビ朝日系で日曜午前1時半から放送。
❄アニメに自分の表情は出ないけど…
―「モーションキャプチャー」での撮影の感想は。
どうしてもスケートも、スケーター一人一人の動きの個性というか癖があるので、キャラクターがたくさんいる中でやはり鈴木明子が出ちゃうと、というのはあるんですけど、「見る人が見たら私なのかな」というのもありますが。
でも心がけたのは、キャラクターそれぞれの個性や性格、どんなことが得意なのか、ジャンプなのか表現なのかステップなのかというところを、自分の中でキャラクターを落とし込んで、その中で振り付けをしていって。もちろん曲ありきですけけど、キャラクターに沿ったものという形だったので、一つ一つのキャラクターの曲のモーションキャプチャーを撮る時には、常にキャラクターになりきる。いのりちゃんはいのりちゃん、ミケちゃんはミケちゃん。光ちゃんは光ちゃんで、絶対女王的なすごいうまさを出したいとか。
モーションキャプチャーなので、基本的に動きはそのままキャラクターになっていくんですけど、私の表情は出ない。でもモーションキャプチャーを撮っている時に、やはり表情を作れば動きにもそれが反映されていくので、人ってうれしい時は動きもうれしいものになるし、ちょっとジャンプを失敗しちゃってがっくりしちゃうところの振り付けはそんな感じになるし、表情も出ないけどやる、なりきるというところを、一つ一つの役作りじゃないですけど、その役を自分の中に落とし込んで滑ることで個性が生まれてくるのかなということで、そこは心がけていました。
―改めて原作を読み込むとかも。
そうですね。私が自由に振りを作っていいわけではなく、漫画の中で出てくる決めポーズとかを振り付けの中に入れながら。決めポーズも漫画の中で決まっているので、そこに至るように作って、最後そのポーズにするとか。
いのりちゃんの「木星」のプログラムも、司先生が踊るというふうになると、そこもいろんなところに入ってくるので、そこは確実に入れて、右手だ左手だというのをチェックしながら振り付けをしていく。一般的な振り付けとは違う形になりました。
―漫画で描かれていないところまで動きを考える必要があったんですね。
例えばいのりちゃんのプログラムの最後、膝をついて終わるポーズは...
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