ロシア、クルスク州の要衝スジャ奪還 ウクライナ占領地全域をまもなく解放か
(CNN) ロシア国防省は13日、同国西部クルスク州でウクライナ軍が占領していた最大の町スジャを奪還したと明らかにした。ロシア軍は他にも二つの集落を解放したという。停戦への圧力が強まるなか、ロシアはウクライナが持つ領土面での「唯一の交渉材料」を脅かしている。
米国シンクタンク戦争研究所(ISW)も現地の映像をもとに、ロシア軍がスジャを押さえ、スジャの北西にある集落まで前進したとの見解を示した。
人口5000人ほどの小さな町ではあるものの、スジャはウクライナが保持していた数少ない拠点の一つであり、奪還はロシア側にとって大きな勝利を象徴するものになるとみられる。
情報筋によると、ウィトコフ米特使が13日にモスクワ入りしている。ウィトコフ氏は、ウクライナがすでに受け入れた30日間の停戦案について、ロシア側に説明する見通し。この停戦案は前線の全域を対象としている。
ロシアのペスコフ大統領報道官は同日、定例会見で、クルスク州でウクライナが保持しているすべての地域についてまもなく解放されるとの見方を示した。
ロシアのプーチン大統領は12日、クルスク州を軍服姿で訪問。前線の部隊に対し、同州を「可及的速やかに完全解放する」との目標を伝えた。
プーチン大統領が前線部隊に対しクルスク州を可及的速やかに完全解放する目標を伝えたことをロシア国営テレビが報じた/Russian Presidential Press Service/AP
プーチン氏は残るウクライナ軍を排除するよう指示したほか、ウクライナとの国境沿いに「緩衝地帯」を設置する可能性についても言及した。クルスクで捕らえられたウクライナ兵は「テロリスト」として扱うべきだとも述べている。
ウクライナは昨年8月、クルスクへの電撃的な侵攻を開始したものの、その支配地域は最近になって急速に後退している。
ウクライナ軍のシルスキー司令官は12日、兵士の命を守ることを優先し、有利な位置へのさらなる戦術的後退を示唆した。ロシア軍は自国領内への空爆も行い、スジャは「ほぼ完全に破壊された」という。
ウクライナのゼレンスキー大統領も同日、記者団に対し「ロシア側がウクライナ軍への圧力を最大化しようとしていることは明らかだ。軍司令部はできる限り多くの兵士の命を救うために必要な措置をとっている」と語った。
一方、ロシアのゲラシモフ参謀総長は同日、ウクライナが占領した地域のうち86%以上をロシア軍が奪還し、430人のウクライナ兵を捕虜にしたと主張。残るウクライナ兵は包囲されていると述べた。